Research Abstract |
イヌを用いた2つの歯周組織モデルでの検討を行った. 実験1ビーグル犬3頭の上下顎前臼歯部頬側に高さ5mm,水平的深さ3mmの根分岐部class II骨欠損を作製した.根面の歯根膜とセメント質を除去した後,実験群ではアテロコラーゲンスキャフォールドを埋入し,対照群では何も埋入しなかった.2週,4週後に組織学的観察および計測を行った.実験群2週ではスキャフォールドの内部に線維芽細胞の侵入が認められ,4週でほぼ吸収されており,分岐部に著明な新生骨,セメント質,歯根膜様組織の形成が観察された.実験群4週における歯槽骨およびセメント質の再生率は,実験群で57.1%,69.8%であり,対照群の33.5%,36.2%と比較して有意に大きかった. 実験2ビーグル犬6頭の下顎前臼歯部に高さ5mm,幅3mmの1壁性骨欠損を作製した.根面の歯根膜とセメント質を除去した後,BMP/Col群では25μlのBMP-2を根面に塗布し,欠損部にアテロコラーゲンスキャフォールドを埋入した.Col群とBMP群では,スキャフォールド埋入あるいはBMP-2根面塗布のみをそれぞれおこなった.コントロール群では複合体埋入,BMP塗布のいずれも行わなかった.4週後に組織学的観察および計測を行った.BMP/Col群では歯根膜,歯槽骨,セメント質の再生が促進された.4群の歯槽骨再生量はBMP/Col,Col,BMP,およびコントロール群で,7.64,4.56,4.16,1.64mm^2,セメント質は2.62,1.84,1.47,0.34mmでありBMP/Col群は他の3群に比較して有意に大きかった.また,BMP/Col群のアンキローシスは0.04mmでありBMP群の0.53mmより有意に少なかった. 以上の結果からBMPの根面塗布とアテロコラーゲンスキャフォールド埋入の併用療法は新しい歯周組織再生療法として有効であると考えられた.
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