2007 Fiscal Year Annual Research Report
骨破壊で特徴づけられる歯周炎の病態に及ぼす炎症巣の活性化T細胞の関与
Project/Area Number |
19791609
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
伊藤 晴江 Niigata University, 医歯学系, 助教 (30397145)
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Keywords | 歯周炎 / RANKL / Th17 |
Research Abstract |
【目的】 歯周炎は感染や炎症により、骨を含めた歯周組織破壊の起こる疾患である。歯周炎に罹患している歯周組織中には多くの免疫系細胞が存在しており、サイトカイン産生や細胞膜上の分子を介して骨髄系細胞の分化や機能制御に深く関与していると考えられている。この免疫系と骨代謝をつなぐと考えられる分子が、破骨細胞分化因子(RANKL)である。RANKLはT細胞上にも発現し、破骨細胞の分化にはこのRANK-RANKLのシグナル伝達が必須である。しかしながらT細胞は破骨細胞分化を強く抑制するIFN-γをも産生する。そのためT細胞の破骨細胞分化への作用はRANKLとIFN-γのバランスによって決定されると考えられている。このバランスを骨破壊促進へ傾ける作用を持つとして近年注目されてきているのがTh17細胞である。Th17細胞はIL-17を産生し関節リウマチの病変部において骨破壊を促進させると報告されている細胞である。そこでRANKL分子、Th17細胞に注目し歯周炎組織における骨破壊機構を解明することとした。 【方法と結果】 歯周炎患者より歯周炎組織を採取、培養を行いCD4^+T細胞ラインを樹立した。樹立されたCD4^+T細胞ラインをマイトーゲンにより刺激した結果、RANKLとIL-17の発現を認めた。IL-17を発現する細胞すなわちTh17と考えられる細胞からIL-4、IFN-γの発現は認められなかった。また、Th17の分化、増殖に関与していると考えられるIL-21、IL-22もIL-17陽性細胞においてその発現が認められた。しかし、それらの発現はIL-17陽性細胞において特異的ではなく、他の細胞集団においても発現が認められた。これらのことから歯周炎組織中には破骨細胞分化を促進させるRANKL^T細胞とTh17細胞が存在し、これらの細胞が歯周炎組織における骨破壊に関与している可能性が示された。
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