2007 Fiscal Year Annual Research Report
歯周病原細菌による免疫エスケープ機構の分子基盤の確立
Project/Area Number |
19791610
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
本田 朋之 Niigata University, 医歯学総合病院, 医員 (30447635)
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Keywords | 歯周病原細菌 / Porphyromonas gingivalis / IRAK-M / Lipopolysaccharide / Toll-like receptor / マクロファージ |
Research Abstract |
歯周病原細菌Porphyromonas gingivalis(P. gingivalis)はその毒性が弱く,宿主細胞に対する炎症性サイトカイン誘導能が低い.これは宿主の免疫応答性を弱めることで免疫系による排除機構から逃れ,感染を慢性化させる原因になっていると考えられる.P. gingivalis LPSによる宿主細胞の低応答性メカニズムには,TLRシグナル伝達系に関わるIRAK-M(negative regulator)が関与していることをすでに明らかにしており,その作用をさらに明確にするため,IRAK-Mが直接的に作用するIRAK-1の発現動態,数多くの炎症性サイトカイン発現の転写に関わるNF-KB活性について検討した.ヒト単球系細胞株THP-1を200nM PMA存在下で48時間培養しマクロファージ様細胞に分化させ,P. gingivalis LPSおよびE. coli LPSを各々1μg/mLで刺激した.ウェスタンブロット法によりIRAK-1発現の経時的変化確認し,また,核タンパクを抽出しELISAキットにてNF-KB p50およびp65の活性を測定した.さらにIRAK-Mに特異的なsiRNAをマクロファージにトランスフェクトした上で同様に実験を行った.結果としては,いずれの菌種由来LPS刺激においてもIRAK-1のmRNA発現に変動は認められなかったが,P.gingivalis LSP刺激9時間後以降においてIRAK-1の分解が抑制された.IRAK-MのノックダウンによりP. gingivalisLPS刺激9時間後におけるIRAK-1の分解が促進され,NF-KBの活性化が促進された。以上より,P.gingivalisはIRAK-Mを介しその下流のシグナル伝達系を抑制することにより,宿主細胞の低応答性に関与している可能性が示唆された.
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