2008 Fiscal Year Annual Research Report
歯周病原細菌による免疫エスケープ機構の分子基盤の確立
Project/Area Number |
19791610
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
本田 朋之 Niigata University, 医歯学系, 特任助教 (30447635)
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Keywords | 歯周病原細菌 / Porphyromonas gingivalis / IRAK-M / Lipopolysaccharide / Toll-like receptor / マクロファージ |
Research Abstract |
歯周病原細菌Porphyromonas gingivalis(P. gingivalis)はその毒性が弱く, 宿主細胞に対する炎症性サイトカイン誘導能が低い. これは宿主の免疫応答性を弱めることで免疫系による排除機構から逃れ, 感染を慢性化させる原因になっていると考えられる. 昨年度までのマクロファージを用いた検討から, P. gingivalis LPSによる宿主細胞の低応答性メカニズムには, TLRシグナル伝達系に関わるIRAK-M(negative regulator)が関与していることをすでに明らかにした. IRAK-Mは, 単球・マクロファージ系細胞に特異的に発現しているとされたが, 他の細胞種における発現が既に報告されている.歯周病原細菌に対して最前線にて免疫防御に関わる歯肉上皮細胞に注目し, IRAK-Mの発現とその機能を確認した. その結果, 単球系細胞に比較し弱いながらも歯肉上皮細胞においてIRAK-Mの恒常的な発現を認め, 歯肉上皮不死化細胞株epi4をP. gingivalisおよびそのLPSにて刺激した実験から, IRAK-Mの発現上昇が認められた. また, siRNAを用いてIRAK-Mをノックダウンさせると, epi4におけるケモカイン産生がさらに上昇した. このことから, 歯肉上皮細胞においてもIRAK-Mを介して歯周病原細菌に対するケモカイン産生を抑制的に制御していることが明らかとなった. 今後, マクロファージに加え歯肉上皮細胞を用いてIRAK-Mに関わる発現制御因子の候補を検索していく.
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