2008 Fiscal Year Annual Research Report
脳由来神経栄養因子を用いた歯周組織再生療法の臨床応用に関する研究
Project/Area Number |
19791612
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
長谷川 直彦 Hiroshima University, 病院, 助教 (10346512)
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Keywords | 歯周組織再生療法 / スキャフォールド |
Research Abstract |
申請者はこれまでに、BDNFをアテロコラーゲンとともに填入した結果、BDNFがセメント質、歯周靱帯、歯槽骨の再生を伴う歯周組織再生を誘導することを示した。また、BDNFが投与後早期に歯周靱帯細胞の増殖・分化を制御することを可能性を明らかにした。当該研究期間ではBDNFの新たなスキャフォールドとしての高分子ヒアルロン酸について検討を行った。 ビーグル犬の実験的歯周炎を惹起したIII級根分岐部歯周組織欠損にBDNF/高分子ヒアルロン酸複合体を充填した。コントロール群として高分子ヒアルロン酸のみを充填した。6週間後、組織標本を作製、切片作成後、光学顕微鏡下にて組織観察を行った。また歯槽骨再生促進因子としてのβ-三リン酸カルシウム(β-TCP)の併用効果の検討するためにBDNF/高分子ヒアルロン酸/β-TCP複合体を欠損部に投与した実験も行った。 BDNF/高分子ヒアルロン酸複合体投与群では、象牙質表面の大部分で新生セメント質が観察され、欠損の半分程度までの歯槽骨の再生と歯周靭帯の再生が認められた。コントロール群では、根分岐部直下に上皮侵入がみられる標本が多く、歯周組織の再生もほとんど観察されなかった。BDNF/高分子ヒアルロン酸/β-TCP複合体充填群では象牙質表面の大部分で新生セメント質が観察され、上皮侵入やアンキローシスは観察されなかった。また、β-TCP周囲に歯槽骨の再生が広範囲に認められ、効果的に歯槽骨再生を誘導できることを示した。 本研究から、BDNF/高分子ヒアルロン酸複合体の局所投与は歯周組織再生療法の臨床応用に有用であることが示唆された。また歯槽骨再生促進因子としてのβ-TCP併用によって、より多様な歯周組織欠損に対応できると考えられる。
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Research Products
(2 results)