2007 Fiscal Year Annual Research Report
新規炎症性メディエーターHMGB1を軸とした歯周病進行と歯周病態制御の解析
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19791618
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
森元 陽子 Kagoshima University, 大学院・医歯学総合研究科, 助教 (30437967)
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Keywords | 歯周病 / HMGB1 / 歯肉上皮細胞 / TNF-α / P38MAPK / IL-8 |
Research Abstract |
本年度の研究計画では、歯周組織におけるHigh Mobility Group Box1(HMGB1)の局在の検討と、歯肉上皮細胞由来株化細胞をTNF-αで刺激した際にHMGB1を産生するかを検討することがメインテーマであった。まず歯周病罹患歯肉と健康歯肉を採取し、HMGB1の存在を免疫組織化学的に観察した。その結果、双方とも核内にはHMGB1の存在を確認できたが、細胞質内では歯周病罹患歯肉にのみHMGB1の存在を確認できた。このことから炎症部位ではHMGB1は核内から細胞質内に移動し、さらに細胞外へ放出されることが示唆された。また、歯肉上皮細胞由来株化細胞(Ca9-22)をTNF-αで刺激することにより濃度・時間依存的にHMGB1が放出されることが確認できた。MAPKsの特異的インヒビターを用いることにより、TNF-αでの刺激によるHMGB1の放出経路はERK、P38MAPK、JNKのうちp38MAPKを介していることも確認できた。加えて、Ca9-22をリコンビナントHMGB1で刺激することによりIL-8産生が認められた。以上の結果から、歯周病罹患歯肉ではHMGB1の局在が認められ、歯周病局所におけるHMGB1の放出は、炎症性細胞の浸潤に関わっている可能性がある。来年度は、他の歯周組織細胞でのHMGB1発現、HMGB1刺激によるサイトカイン産生を検索すると共に、歯周病の病態との関連性を詳細に検討していく予定である。
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