2008 Fiscal Year Annual Research Report
プロスタグランジンE受容体作用薬を用いた歯周炎進行抑制のための薬物応用
Project/Area Number |
19791621
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
滝口 尚 Showa University, 歯学部, 助教 (60317576)
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Keywords | PGE2 / ケモカイン / 重度慢性歯周炎 / 侵襲性歯周炎 |
Research Abstract |
炎症歯肉組織は健康な歯肉組織中と比べてPGE2レベルが約20倍高いことが知られており、歯肉溝滲出液(GCF)中においても検出されている。近年ではGCF中のPGE2と妊婦羊水中のPGE2に正の相関関係が報告され、歯周病と低体重児出産が認知されてきた。一方でPGE2は古くから炎症性メディエーターとして知られ、歯周炎による骨吸収の原因の一つと考えられてきたが、骨形成、抗炎症作用が近年報告されてきた。そこで歯周炎進行抑制のための薬物療法のため、PGE受容体を用いて研究を行った。 昨年度までに、歯周炎に罹患していない正常ヒト末梢血由来のモノサイト・マクロファージの分離採取を可能にし、採取した正常ヒト末梢血由来のモノサイト・マクロファージおよびTHP-1細胞由来マクロファージにおいて、ケモカイン産生に対してPGE2の作用を検討した結果、IL-8の産生が、PGE2添加により有意に抑制することを確認した。さらに本年度は、炎症性サイトカイン依存的なケモカイ産生に対するPGE2およびEP受容体の影響を検討し、以下の結果を得た。 (1) THP-1細胞由来マクロファージにおいて、IL-1β依存的ケモカイン産生に対してPGE2の作用を検討した結果、IL-8,RANTES,MIP-1β,MCP-3の産生が、PGE2添加により有意に抑制することが確認された。 (2) THP-1細胞におけるEP受容体の発現をRT-PCR法で確認した結果、EP1,2,3,4は恒常的に発現していることが確認された。 (3) EP2およびEP4アンタゴニストを用いてIL-1依存的IL-8産生におけるPGE2の作用を検討した結果、EP4アンタゴニストはPGE2により抑制されたIL-8産生を有意に抑制したが、EP2アンタゴニストは影響を及ぼさなかった。今回の研究よりPGE2の抗炎症性作用にはEP4受容体が関係していることが確認された。
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