2008 Fiscal Year Annual Research Report
エイジングに伴う口腔乾燥発症と、歯周病に及ぼす影響に関する長期コホート研究
Project/Area Number |
19791633
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
廣冨 敏伸 Niigata University, 医歯学系, 助教 (00345513)
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Keywords | 歯周病進行 / 口腔乾燥 / 高齢者 / 疫学 |
Research Abstract |
目的 : 昨年度の断面調査で、口腔乾燥を有する高齢者は歯周組織状態の悪いことが示唆された。本年度、同一集団を対象に追跡調査を行ったので、口腔乾燥と歯周病進行との経年的な関連について明らかにする。方法 : 昨年度は383人、本年度は359人の高齢者が調査に参加した。調査内容は、口腔乾燥に関する質問紙調査および歯周組織診査であった。全てのデータが完備していた有歯顎者307人を分析対象とした。乾いた食品が食べにくい、口の中がネバネバして話しにくい、のどちらかに該当する者を口腔乾燥有りと定義した。歯周組織診査では、1歯あたり6点でアタッチメントレベル(AL)を測定した。各点における3mm以上のAL増加を歯周病進行と定義した。口腔乾燥の有無により対象者を2群に分け、歯周病進行の部位割合を比較した。結果 : 口腔乾燥は対象者の19,2%に認められた。現在歯数により3群(1-9本(n=70)、10-19本(n=88)、20-32本(n=149))に分けて比較すると、歯数の少ない群で口腔乾燥を有する者が有意に多かった(それぞれ24.3%、25.0%、13.4%, P<0.05)。歯周病進行の部位割合は対象者全体で2.7%だった。歯数別に比較すると、歯数の少ない群で歯周病進行の割合が有意に高かった(それぞれ4.3%、3.2%、1.6%, P<0.05)。また、歯周病進行は女性(n=158)に比べて男性(n=149)で有意に高かった(1.9vs3.5%, P<0.05)。歯数別の3群ごとに、歯周病進行の割合を目的変数、口腔乾燥の有無と性別とを説明変数とした重回帰分析を行った。その結果、歯数1-9本群については、性別を調整しても歯周病進行と口腔乾燥との間に有意な正の関連が認められた。結論 : 現在歯数の少ない高齢者では、歯周病進行と口腔乾燥を併発する可能性が高い事が示唆された。
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