2009 Fiscal Year Annual Research Report
エイジングに伴う口腔乾燥発症と、歯周病に及ぼす影響に関する長期コホート研究
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19791633
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
廣冨 敏伸 Niigata University, 医歯学系, 助教 (00345513)
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Keywords | 口腔乾燥 / 歯周病 / 牽糸性 / 高齢者 / 疫学 / マルチレベル |
Research Abstract |
目的:I.刺激唾液の糸引き度(牽糸性)と口腔乾燥発症との関連、II.口腔乾燥発症と歯周病進行との関連について示す。 方法:昨年度調査した80歳高齢者について、平成16年からの経年変化について分析した。平成20年に有歯顎だった290人のうち、Iでは243人を、IIでは280人を分析対象とした。両時点において刺激唾液の牽糸性を測定し、上位20%者をそれぞれ高牽糸群とした。口の乾きのため話しにくい、乾いた食品が食べにくい、のどちらかに該当する者を口腔乾燥有りと定義し、その発症率を比較した。歯周組織診査では1歯6点でアタッチメントレベル(AL)を測定した。各点で3mm以上ALが増加した場合を歯周病進行と定義し、進行の認められた歯数を比較した。 結果および考察:I.平成16年に口腔乾燥のなかった243人のうち、4年間で21%に口腔乾燥が発症した。多重ロジスティック回帰分析により性別および歯数を調整しても、両時点とも牽糸性の高い群は高くない群に比べて口腔乾燥発症の危険度が4.4倍高かった。しかし平成16年の牽糸性により口腔乾燥発症を比較しても差がなかったことから、高牽糸性の持続が口腔乾燥発症を誘発する可能性が示唆された。II.歯周病進行は、一人平均で1.9±2.7本の歯に認められた。マルチレベルロジスティック回帰分析により性別、歯数、部分床義歯の使用、喫煙および歯の部位(上・下顎および前・臼歯)を調整しても、口腔乾燥の発症と歯周病進行との間に有意な関連が認められた。 結論:高牽糸性の持続が口腔乾燥発症を誘発すること、さらに口腔乾燥と歯周病は併発することが示唆された。
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