Research Abstract |
誤嚥の原因の多くは口腔機能に依存するといわれている。したがって,誤嚥のりスクの観点から嚥下時の口腔機能(食塊形成機能)を評価する必要がある.本研究では,経鼻内視鏡を用いて.口腔から咽頭に送り込まれた食塊の状態を視覚的に評価することにより,誤嚥防止の観点からの食塊形成機能評価法を確立することを目的としている. 今回の研究により,2色の同一食品を同時に摂取するように指示し,そのときの食塊形成状態を内視鏡で視覚的に評価することで,食塊形成機能が評価できることが明らかとなった.また,そのときの被験食品は米飯(白飯と緑飯)が適当であり,評価項目は「混和度」,「集合度」,「粉砕度」が有用であることが明らかとなった. また,健常被験者を40名に増やし,健常成人の食塊形成機能の平均を求めた.また,咀嚼回数との相関を検討した結果,粉砕度と混和度は咀嚼回数の増加にともない上昇するものの,集合度については咀嚼回数と相関は無く,咀嚼回数の多少に関わらず良好な値を示した.この結果から,嚥下閾に必要な食塊の条件として,集合度が高い必要があることが明らかとなった. 加えて,嚥下障害症例の食塊形成機能についても評価を開始した.まだ被験者が20例であるため.統計学的な検討は行えていないが,嚥下障害例においては,健常者と比べて食塊形成機能が不良であることが多かった. これらの結果は,口腔機能の良否による食事内容の決定方法,および口腔機能に応じた嚥下リハビリテーションプログラムの開発に大きく貢献するものである.
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