2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19791641
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
津田 啓方 Nihon University, 歯学部, 助手 (60325470)
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Keywords | 短鎖脂肪酸 / 歯周炎 / 骨 / アポトーシス / 酪酸 / 破骨細胞 / 骨芽細胞 / プロピオン酸 |
Research Abstract |
骨芽細胞に対する短鎖脂肪酸の影響 ヒト正常骨芽細胞NHOst細胞に様々な濃度の酪酸を作用させ、骨形成因子に対する影響をリアルタイムRT-PCR法とELISA法で調べた。 Type I Collagen mRNAは、酪酸濃度10^<-8>M以上の濃度で、初期における一過性の発現上昇が認められ、BSP、Osteopontinは酪酸濃度10^<-4>Mにおいて中期〜後期にかけて上昇が認められた。また、石灰化nodule形成はやや上昇傾向にあったが、骨形成マーカーであるアルカリフォスファターゼの上昇は確認出来なかった。以上により、酪酸は細胞外マトリックス形成を促進するが、石灰化へは大きく影響しないことがわかった。 破骨細胞に対する短鎖脂肪酸の影響 破骨細胞に関してはまずは短鎖脂肪酸の破骨細胞分化に与える影響を調べた。マウスRaw264.7細胞を50ng/mLのRANKLで刺激すると破骨細胞に分化するが、そこに様々な濃度の単鎖脂肪酸を作用させた。すると、酪酸は10^<-5>M以下の濃度ではRANKL刺激破骨細胞分化には影響を及ぼさなかったが、10^<-4>M以上の濃度においては濃度依存的にアポトーシスと思われる細胞の縮小化をおこした。また、10^<-4>M以下の濃度ではRANKL刺激下でのMMP-9、Catepsin K、Carbonic Anhydraseの発現に影響しなかった。 上皮細胞に対する短鎖脂肪酸の影響 歯周病細菌由来の短鎖脂肪酸が歯槽骨に作用することを考える場合、短鎖脂肪酸は上皮バリアーを破壊または浸透しないと骨に影響を及ぼすことはない。そこで、短鎖脂肪酸が上皮に与える影響を見る事が必要と考え、それを実験にて確かめた。歯垢中の酪酸濃度は2.6〜14mM、プロピオン酸は9.5〜44mMと報告されているので、各短鎖脂肪酸の濃度は1〜40mMで調べた。酪酸は1mM以上、プロピオン酸は5mM以上で歯肉上皮株化細胞Ca9-22細胞のアポトーシス様縮小化を引き起こした。これらの濃度においてはカスパーゼ3も活性化されたので、アポトーシスを起こしているものと考えられた。
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