2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19791645
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Research Institution | Fukuoka Dental College |
Principal Investigator |
谷口 奈央 Fukuoka Dental College, 歯学部, 助教 (60372885)
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Keywords | 口臭 / 口腔細菌叢 / 揮発性硫黄化合物(VSC) / T-RFLP / PCR / Helicobacter pylori / 歯周病原細菌 |
Research Abstract |
歯周病や舌苔などの病的原因を持たない口臭を生理的口臭という。我々は、生理的口臭と口腔細菌叢の関連性を検討するために、130名の健康な歯周組織を持つ口臭患者の唾液サンプルについてT-RFLP解析を行い、口腔細菌叢と揮発性硫化物(volatile sulfur compound, VSC)の関係を調べた。その結果、細菌叢パターンをもとに分類した3群のうち、VSCレベルの高い1群をみいだした。同群は、舌苔因子を取り除いても、他群と比較して有意に高いVSCレベルを示し、口腔細菌叢が潜在的に生理的口臭に影響することが示唆された。 Helicobacter pyloriは胃腸粘膜疾患との深い関連性を知られる菌である。同菌は口腔内で検出されることもあり、口腔内におけるH. pyloriの存在は、再感染や感染の入り口として重要とされ、また歯周病や口臭との関連も注目されている。そこで、口腔内のH. pylori感染と口臭の関連性を検討するために、口臭患者362名の唾液サンプルについて16SrRNA遺伝子を利用したPCR解析を行った。その結果、H. pylori陽性は21名(6.4%)、陰性は305名(93.6%)であった。陽性群は陰性群に比べて、唾液潜血、動揺度、歯周ポケット、歯周病原細菌の検出などの歯周病パラメータにおいて統計学的に高い値を示した。次に、両群の口臭パラメータを比較したところ、メチルメルカプタンにおいて陽性群が有意に高かった。口臭患者における口腔のH. pylori感染の報告は本研究が初めてであり、H. pyloriは進行した歯周病環境下にて多く検出され、代表的な歯周病原細菌と同時検出されることがわかった。さらに、舌苔因子を取り除いた解析により、H. pyloriの口腔感染は歯周病を介して間接的に口臭に関係していることが示唆された。
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