2008 Fiscal Year Annual Research Report
褥瘡発生機構における基礎的研究-皮膚・筋肉構成細胞の加圧負荷に対する応答-
Project/Area Number |
19791650
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Research Institution | Shiga University of Medical Science |
Principal Investigator |
高田 直子 Shiga University of Medical Science, 医学部, 講師 (10432303)
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Keywords | 褥瘡 / 皮膚線維芽細胞 / 筋管細胞 / 機械的刺激 / アポトーシス / 低酸素刺激 |
Research Abstract |
本研究は、褥瘡発生プロセスには血流の変化以外に、加圧という機械的刺激に対する皮膚または筋肉の構成細胞の応答が関与するという仮説を検証することを目的としている。すなわち、コラーゲンゲル内3次元培養した皮膚線維芽細胞および筋管細胞を用いて、加圧に対する細胞応答を遺伝子またはタンパク質のレベルで検証するものである。本年度の研究では、TUNEL染色および、カスパーゼ-3免疫染色にて皮膚線維芽細胞が加圧刺激によってアポトーシスが誘発された前年度結果の再現性を示すことができた。また、筋管細胞においても同様の結果を得たが、現在再現性の確認を行っている。また、これまで加圧負荷によって発現が増加した、サイトカイン類(TNFα、IL-1β、IL-6、IL-8)およびマトリックス分解タンパク(MMP-9, -13)を、時間・負荷量による変動を検討した結果、ヒト皮膚線維芽細胞は負荷時間および負荷量の増加に伴い、発現が増加する可能性が示された。このうち、TNFαはアポトーシスのデスリガントの代表であることから、時間と負荷量に比例してアポトーシスの誘発がより強くなる可能性が考えられる。 これらのことは、褥瘡発生にはアポトーシスが関与していることと、このアポトーシスの発現には、加圧負荷された皮膚線維芽細胞および筋管細胞の応答が関与している可能性を示す。 さらに、加圧負荷にて弾力を失いにくい3次元培養モデルの作成を試みた。その結果、ヒト皮膚線維芽細胞は、コラーゲンゲルトに比して、カイコフィブロンスポンジによる攪拌培養にてより増殖することが示された。このことは、より生態環境に近いモデルを作成への足がかりになると考える。
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