2007 Fiscal Year Annual Research Report
看護実践能力の育成に関する体験型学習の要因分析と活用-身体侵襲を伴う技術教育から
Project/Area Number |
19791658
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Research Institution | Saitama Prefectural University |
Principal Investigator |
野中 美穂 Saitama Prefectural University, 保健医療福祉学部, 助教 (60404927)
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Keywords | 看護実践能力 / 体験習学 / 身体侵襲 / 技術教育 / 看護教育学 / 看護学教育 / 看護教育 |
Research Abstract |
1.目的:看護基礎教育カリキュラムにおいて,看護学実習は欠かせない科目であり,そこでは学習者である看護学生の対人関係が重要な役目を果たしているが,その対人関係がもたらす学生の学習効果についての検討は,まだ不十分である。本研究では,身体侵襲を伴う看護技術の実地体験が看護実践能力の形成及び育成に関係するかどうか明らかにすることである。そこで,H19年度は,体験型学習により得られる学習の成果と体験実施に伴う心身の侵襲について検討することに重点をおいた。 2.方法:看護学生に身体的・心理的侵襲を与える経鼻的胃管挿入の体験型学習と体験学習に対する質問紙調査を実施した,自由回答による「学生の思い」の既存の内容を質的に分析した。さらに,身体侵襲を伴う看護技術の実地体験と看護実践能力に関する調査を実施した。 3.結果と考察:身体侵襲を伴う看護技術の体験型学習は,援助的人間関係の形成の方法を修得できる学習方法であり,看護学生が感じる心理的侵襲の有無によって学習到達度は影響しないことが明らかになった。高島尚美ほか(2004)が,新人看護師の看護実践能力は,社会的スキルを含めた「対人関係」が基盤となっており,それと平行して対象把握を含めた問題解決能力が成長することを述べていることから,身体侵襲を伴う看護技術の実地体験は,看護実践能力の育成に関係する学習方法であり,その要因は援助的人間関係の形成の方法の修得である。以上より,身体侵襲を伴う体験型学習は,学生の心理的侵襲に対する感じ方や個別性により学習目標の到達は影響を受けるが,教員が心理的侵襲に対する対処と,他の学生との学びの共有を意識した働きがけをすることにより,学生が自らの振り返りから問題解決過程に進むことができ,学習目標は到達できることが示唆された。これらの結果をふまえて,身体侵襲を伴う看護技術の実地体験と看護実践能力に関する調査の分析を進行していく。
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