2008 Fiscal Year Annual Research Report
肺がん終末期患者の在宅療養の実態とその問題点の抽出
Project/Area Number |
19791662
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
新瀬 朋未 Osaka Prefecture University, 看護学部, 助教 (10448756)
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Keywords | がん終末期 / 在宅療養 / 緩和ケア / QOL |
Research Abstract |
高齢化社会や高度医療が進んだ現代、人々の価値観の変容や様々な医療政策によって、在宅での看取りの機会は確実に増えていくと考えられるが、がんの終末期に在宅療養を選択する患者数はまだ少ないのが現状である。本研究の目的は、在宅療養を選択する患者が他のがんに比べ少ない肺がん終末期患者を対象にし、その理解を深めるとともに在宅療養の支援体制における課題を明らかにすることである。今年度はQOLの視点を中心に患者の在宅療養に対する認識について捉えていくための質問紙の作成と、パイロットスタディを行った。質問紙は、既存のQOL測定尺度および昨年度に行った予備調査を基にして、患者の生き甲斐や死生観、ライフスタイルなどを織り込み、作成にあったては医師や訪問看護師らの意見を取り入れながら、患者にとって身体的・精神的負担とならないような配慮を行った。データは訪問看護師による実際の在宅療養患者訪問に同行し、質問紙の利用および参加観察法により収集した。在宅療養をしている肺がん終末期患者の数は少ないため、パイロットスタディではがんの部位によらず対象者を選択した。得られたデータの結果、患者の在宅療養に対する認識を捉えるには、作成した質問紙からだけでは不十分であることがわかった。患者・家族間、また医療者との関係性の中から、紙面上には現れてこない個別的な部分を把握し理解していくことが重要である。しかし多様化していく終末期患者のケアにおいて、一定の質を保ちつつケアを提供するために、患者の在宅療養に対する認識の把握に向けての指針が必要であると考える。今後は肺がん終末期患者を対象とするにあたって、肺がんの特徴を考慮した質問紙の作成と参加観察によるデータの収集方法の改善が課題である。
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