2008 Fiscal Year Annual Research Report
生理・心理的評価に基づく足浴「深度」の検討-「冷え」ある女性の最適な足浴の設定-
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19791692
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
清水 三紀子 Nagoya University, 医学部, 助教 (90402627)
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Keywords | 足浴 / 自律神経 / 体温 / 実験研究 / 冷え / 女性 / 心理 / 血圧 |
Research Abstract |
1) 属性 : (1)対象者女性19名(2)年齢26.2±5.55歳(平均値±SD)(3)膝下の長さ46.8±1.17cm(平均値±SD)(4)STAIより、対象者は安定した集団であった。(状態不安3段階以下 : 94.7%、特定不安3段階以下 : 73.7%) 2) 結果・考察 : POMSではWilcoxonの符号付き順位検定を行った結果、足浴深度8・20cmにおいて5項目、足浴深度15cmにおいて全6項目で有意な低下が認められ、強力なリラックス効果が得られた。 深部温(額)おいて、足浴深度8cmでは足浴開始後3種類の深度のうち最も高体温となり、その後徐々に下降し体温変動は最大となった。足浴深度15cmでは足浴終了後30分を経過しても体温は緩やかな上昇がみられたが、3種類の深度のうち体温変動は最小であった。足浴深度20cmではほとんどの時期において3種類の深度のうち最も体温が低下した。反復測定を行った結果、深部温(額)には有意差が認められた。これらより、足浴深度15cmでは、足浴効果が持続され、深部体温の変化が最も少なく全身への負担が最小限であることが示唆された。深部温(恥骨結合上)では、足浴深度全て(8cm・15cm・20cm)において、足浴開始から足浴後30分を経過しても緩やかな上昇を示したが有意差は認められなかった。表面温(手指)では、足浴深度全て(8cm・15cm・20cm)において、足浴開始直後、足浴終了直後、足浴終了15分後および20分後に一時的な下降がみられたが、有意差は認められなかった。これらの一時的な変化は、血管拡張に関連した感覚神経(C繊維の求心性の反応)と酸化窒素による皮膚血流(酸化窒素の血管拡張作用)が関連した局所の温度調節メカニズムであることが示唆された。 血圧測定および自律神経活動(心電図R-R間隔変動のスペクトル分析によりLF(低周波成分)、HF(高周波成分)を求め、それらよりLF/HFを算出)において、反復測定を行ったが、有意差は認められなかった。これより、血圧および自律神経活動は足浴深度に影響を受けないため、心疾患・精神疾患の有無に関わらず全ての対象者が自ら好む足浴深度の選択が可能であることが示唆された。 以上より、対象者は足浴深度を選択することが可能であるが、足浴深度8・20cmより15cmの方が強力なりラックス効果が得られ、足浴効果が維持されることが示唆された。
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