2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19791704
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
末次 美子 九州大学, 医学研究院・保健学部門, 助教 (70437789)
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Keywords | 対児感情 / Maternal Identity / 不妊治療 / 母親役割獲得過程 |
Research Abstract |
本研究の目的は、不妊治療によって妊娠し早産した母親のMaternal Identityと対児感情を明らかにすることである。不妊治療後早産した母親と自然妊娠後早産した母親に、半構成的面接法を用い、得られた逐語録を分析素材として質的帰納的に分析を行った。分析過程においては、信頼性・妥当性確保のため、学会参加等により最新の知見を得て、母性看護・質的研究方法の専門家との検討を重ねた。 不妊治療によって妊娠し早産した母親の対児感情は、いずれも不妊治療中の体験の影響を受けていた。妊娠や妊娠の継続を目標に据えて臨んだ不妊治療の体験や、イエの跡取りなど義務的に臨んだ不妊治療の体験では、早産児をわが子として現実感を持って受容することが困難であった。また、夫婦が子どもを切望し、子どものイメージを具体化させて臨んだ不妊治療の体験では、子どもに対する様々なリスクを想定して不妊治療に臨んでおり、妊娠中から対児愛着を発達させ、早産児であるわが子を受容することもスムーズであった。対児感情の変化に影響をもたらした因子は、子どもの状態の切迫した変化や、相互作用が可能になるなど、子どもの成長発達が大きな影響を与えるものであった。Maternal Identityについては、対児感情と相互に影響し合いながら発達しており、不妊治療中から形成する女性や、子どもの相互作用のための合図が読み取りやすい時期になって初めて形成する女性など様々であり、また新たなものとしてMaternal Identityを形成する女性や、Maternalを否定し既存のIdentityに統合する形で形成するなど、様々であった。 今後の援助の方向性として、不妊治療中の体験をよく理解し、わが子に対する感情を尊重しながら、女性のペースに合わせて、女性なりのMaternal Identityを発達させるために支援していくことが重要である。
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