2008 Fiscal Year Annual Research Report
造血幹細胞移植患者への看護介入 -M.Newmanの理論に基づいて-
Project/Area Number |
19791716
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Research Institution | Prefectural University of Hiroshima |
Principal Investigator |
永井 庸央 Prefectural University of Hiroshima, 保健福祉学部, 助教 (70433381)
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Keywords | がん看護 / 造血幹細胞移植 |
Research Abstract |
本研究の目的は移植後、長期に外来通院を続ける成人前期患者と看護師がともに患者のパターン認識をたどることで、病気体験にどのような変化が生じるのか探求することである。【方法】まず関係施設でM. Newmanの「健康の理論」について説明会を開き理解を得た。研究参加者は移植後1年以上外来通院を続け、大腿骨頭壊死を発症している成人前期患者とし、データ収集としてNewmanの理論を基に面談を施行した。分析は逐語録から意味をもつ表現を抽出した後、個々の変化の類似性を見比べた。尚、信憑性を高めるために、研究者の解釈が適切か参加者に確認した。【結果】2名の成人前期患者に3〜4回面談を行った。参加者らの変化 ; 局面1 : 参加者らは病気体験を含めて<これまでの生活を表面的に紹介>した。局面2 : その後、同病の友人を亡くしたことなど<発病、移植で味わった苦悩の振り返り>をみせた。局面3 : さらに参加者らは現在も抱えている気持ちを確かめながら<大腿骨頭壊死による社会復帰の困難さと再発への不安の表出>をみせた。局面4 : 続いて参加者らは<周囲の人々に支えてもらっていたことの気づき>をあらわした。局面5 : そして、参加者らは<社会復帰に向けた自分なりの新しい生き方の認識>を表出した。【考察】参加者らが示した変化はNewmanがいう意識の拡張を示していた。また参加者らは移植、大腿骨頭壊死などの繰り返される困難に加え、再発の不安にも苦悩していた。さらにこれらの苦悩を表出することなく、社会に復帰しようと生活していたことも特徴的だった。本研究における看護介入は、移植後大腿骨頭壊死など、新たに生じた障害により苦悩する患者に対して、自らのパターンを認識し気持ちを整理する具体的な支援方法を示唆した。今後の課題として、介入時期についてさらに検討していく必要がある。
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