Research Abstract |
本研究の目的は,3年間を通して,M.Newmanの健康の理論に基づいて,人生の完結期を生きる終末期壮・老年期がん患者が,自分の生に意味を見出し,死と向き合いながら,自らの"生と死をデザインする過程"を支援できるような,新しい看護ケアの方法論を創出することである。今年度は,まずパイロットスタディの研究成果を,Newman理論に基づく研究発表が多い国際学会で発表した。窮地に陥っている終末期壮・老年期がん患者が,看護師というパートナーを得て自分の人生の過程を辿ることで,生きる意味を見出し,生命の長さに関わらず人生最期の過程をいきいきと生きるようになったという結果について活発に会場との意見交換がなされ,終末期がん患者においてNewman理論に基づく看護ケアが意義あることが確認された。そこで,研究対象者を得て看護ケアの実践を行い,患者が"自己の生と死をデザインする"過程を支援する関わりの内容を明らかにした。結果として,孤独で常に苛立っていたがん患者が,動揺を繰り返しながらも,やがて幸福感に満たされて死を遂げるまでの看護師との関わりの過程から,患者の一連の看護に特有な看護の性質,すなわち,`患者と看護師のゆるぎない関係性の創出(局面1)',`患者の自己像が転換され,"いま"を生きる自分を受け入れることへの支援(局面2)',`繰り返し揺れ動く患者に寄り添い,"いま"を生きることへの揺るがぬ支援(局面3)',`人生の意味を悟り,納得と満足に満ちたすべての調和への支援(局面4)'が抽出された。これらの看護の性質は,別々に切り離されたものではなく,時の経過とともに最初の性質は巻き込まれて次の性質へと開かれていく,らせん状の拡張をあらわすものであった。次に,この看護ケアを導くガイドラインを引き出し,案として提示し,来年度の研究活動において,ガイドラインとして成熟させていく課題を明確にした。
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