2008 Fiscal Year Annual Research Report
乳がん患者のがんの認知プロセスと関連要因に関する研究
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19791723
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Research Institution | Gumma Paz College |
Principal Investigator |
萩原 英子 Gumma Paz College, 保健科学部, 助教 (40438776)
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Keywords | 乳がん / 認知プロセス / 関連要因 |
Research Abstract |
今年度は、乳がん患者がどのような過程を経て乳がんであることを認知し、治療開始に至っているのか、また、それに影響を及ぼしている要因を明らかにすることを目的とした。 1. 乳がん患者のがんの認知に関する調査の実施 昨年度より継続して半構成的面接調査を実施し、最終的に10名が研究対象となった。平均年齢49.1歳、右乳がん5名、左乳がん5名、病期はstageO2名、stageI3名、stageIIA5名であった。 2. 乳がん患者のがんの認知プロセスおよび関連要因の分析 得られたデータを、修正版グラウンデッド・セオリー・アプローチを用いて分析した。その結果、がんの認知プロセスは4つの【コアカテゴリー】、9つの[カテゴリー]、24の<概念>から構成された。 乳がん患者は、【がんであるという確信的予測】【がんであるとの認識の修正と統合】【がんとともに生きる】というプロセスを【認識の混乱】と相互に往来しながらたどり、乳がんであることを認知していた。【がんであるという確信的予測】は、[自分の経験に基づくがんであるという確信]が、[医療を受けることに伴い感じるがんであるという確信]に裏付けされ、より確固たる確信へと変化する局面であった。【がんであるとの認識の修正と統合】は、<がん告知による衝撃と動揺>を経験することにより<治療の提示によるがん罹患の実感>をし、改めて[告知によるがんであることの確信]をしていた。また、【がんとともに生きる】は、告知を受けて[がんに向き合う]ことから、[生き方や生活の再構築]に至っていた。【認識の混乱】は、[がんではないという願望思考]と[身体の異常に対する衝撃と不安]の狭間で揺れる思いにより、[がんに対する認識の混乱]が引き起こされる局面であり、全ての局面と関係していた。
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