2008 Fiscal Year Annual Research Report
看護師のコミュニケーションスタイルが患者の自己開示や意思決定に与える影響研究
Project/Area Number |
19791736
|
Research Institution | Kawasaki City College of Nursing. |
Principal Investigator |
谷山 牧 Kawasaki City College of Nursing., 講師 (40413166)
|
Keywords | 慢性疾患 / 行動変容 / 看護師-患者関係 / トランスセオレティカルモデル |
Research Abstract |
行動理論は多数存在するが、今回は健康日本21の「健康づくりのための運動指針2006」にも導入され、様々な行動変容への介入に活用され始めているTranstheoretical Model : TTM(行動変容ステージモデル)の糖尿病患者への応用に着目して研究を実施した。TTMを用いた研究の多くは量的研究であり、変化のプロセスや意思決定バランスについて質的に研究したものは非常に限られている。今後、TTMを活用した介入が我が国においても広く行われると考えられるが、TTMは文化的な差異のある我が国においても、妥当であるかを質的に検討した調査は存在しておらず、今後その妥当性、医療従事者による介入方法について明確にするための研究の必要性が考えられた。 今年度はTTMの食事療法実行期から維持期にある糖尿病患者6名を対象として、食事の行動変容過程で生じた心理変化、具体的な行動変化の状況を明らかにすることを目的として半構造化インタビューを実施した。インタビューでは、食事内容の変化、食事療法を実行するうえでの困難さ、食事療法を行う必要があると指摘されたときの気持ち、食事療法継続により感じられる利点、医療従事者からの支援や期待する対応について尋ねた。結果、食事療法開始前後の食事内容の変化として最も多く挙げられたのは、食事量・飲酒量の減少、時間の延長であった。対象者の多くは食品交換表などは使用しておらず、病院で受けた栄養指導をもとに継続可能な方法を自ら考案し、実施していた。食事療法の必要を指摘されたときには特に強いストレスを感じたものはいなかったが、食事や飲酒、し好品の摂取には心理的なストレスが影響していることを自覚したものが複数存在し、ストレス源の消失とともに食事療法がスムーズに実施できるようになった対象者もいた。食事療法を実行するうえでの困難さとしては、外食時に適切な食事を行うこと、食事時間のコントロールなどが述べられたが、困難を感じないという回答も多かった。食事療法による利点としては、血糖値がコントロールされていること、体重の減少やそれに伴い「身体が楽になった」と感じることが多く述べられていた。ただし、急激な食生活の変化、体重の減少に伴い心理面が不安定になったと述べた協力者もいた。今後はインタビュー結果をTTMを軸として分析し、その妥当性と各ステージでの支援内容について分析を行っていく。
|