Research Abstract |
本研究の目的は, 20, 30代女性の結婚, 妊娠, 出産, 育児等の1) ライフイベントが生活習慣に与える影響と配偶者との関連及び2) 現在の生活習慣と健康関連QOL : Health-related Quality of Life(以下HRQOL)との関連を明らかにすることである。対象は, 青森県に在住する20, 30代の現在育児中の女性とその配偶者である。方法は無記名式自記式質問紙調査(郵送法)であり, 調査項目は1) 生活習慣12項目, 2) 健康関連QOL : SF-36v2質問紙, 3) 基本属性 : 性別, 年齢, 職業, 家族構成等である。なお, 生活習慣はライフイベント前後の4時期(結婚前, 妊娠前, 出産前, 現在)を調査した。分析は, 生活習慣を良否ごとに分類し, 妻, 夫と個別に各時期で比較, 夫婦間の一致度を測った。HRQOLは下位尺度得点を算出し, 生活習慣の良否を従属変数, 下位尺度得点を独立変数とする多重ロジスティック回帰分析を行った。夫婦ペアで回答のあったA市257組, B市138組を解析対象とした。結果, A市では妻の方が望ましい習慣をしている者が多く, 妻, 夫共に生活習慣は結婚, 妊娠後に望ましい習慣をしている者が増加(p<0.05)し, 出産後は低下した(p<0.05)。また, 妊娠後, 出産後に生活の規則性や食事の項目に一致が認められた(κ係数0.21〜0.30, p<0.01)。HRQOLの下位尺度得点は妻, 夫共に日本国民標準値より低い傾向がみられた。多重ロジスティック回帰分析の結果, 生活習慣とHRQOLでは妻の方が関連する項目を多く認めた。B市でも同様の傾向を認めたが, 差異のある項目もあり, 地域性が示唆された。以上から, ライフイベントは生活習慣に大きく影響することが示唆された。これらを考慮し, 夫婦間の類似性や差異をとらえ, HRQOLの向上を加味した健康生活習慣の獲得や維持へのアプローチの検討が必要である。
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