2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19791740
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
辻村 弘美 Gunma University, 医学部, 助教 (70375541)
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Keywords | 認知症 / 高齢者 / おだやか / 尺度開発 |
Research Abstract |
目的:認知症高齢者のおだやかスケールを開発し、その信頼性,妥当性を検討することである。本研究は、おだやかな認知症高齢者の生活背景の調査やその人の良さや強みとして臨床のケアプランの立案などに活用することができると考える。対象と方法:おだやかスケールを構成する評価項目は、認知症の看護,介護経験者に、「認知症高齢者のおだやか像は…である」という文章完成法の回答より抽出した。その後、認知症有識者にょる重みづけを行い、5領域48項目からなる「おだやかスケール原案」を作成した。本研究は、介護老人福祉施設,介護老人保健施設,認知症対応型共同生活介護,通所介護・通所リハビリテーションを利用している65歳以上の認知症高齢者122名を対象とした。調査用紙は、「おだやかスケール原案」の他にQOL評価スケール(Alzheimer's Disease health-related quality of life:AD-HRQL),行動感情評価スケール(Behavioral and Mood Disturbance Scale:BMD)の3つを用いた。対象者の調査を行うのは、対象者の日常生活の様子を把握している施設の看護職,介護職とした。結果:因子分析により「周囲との交流」9項目、「自分らしさの発揮」7項目、「満足・活気」6項目、「活動の楽しみ」3項目の4領域25項目の「おだやかスケール」を作成した。「おだやかスケール」とAD-HRQLとの相関係数は0.79、BMDとの相関係数は-O.74であり、有意な強い相関がみられた。2週間後の再テスト法による相関係数は0.97で、有意な強い相関がみられた。また、「おだやかスケール」全体のCronbachα係数は0.96であり、各領域のα係数は「周囲との交流」が0.92、「自分らしさの発揮」が0.90、「満足・活気」が0.86、「活動の楽しみ」が0.89であった。考察:認知症高齢者のおだやかスケールの信頼性,妥当性は検証された。「おだやかスケール」はAD-HRQLと同様な領域で構成されているが、その一方「自分らしさの発揮」という領域に関しては「おだやかスケール」に特有なものであった。
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