2007 Fiscal Year Annual Research Report
精神科new long stay患者を対象とする退院促進プログラムの開発
Project/Area Number |
19791742
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
石川 かおり Chiba University, 看護学部, 講師 (50282463)
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Keywords | 退院支援 / 精神看護 / 退院支援ニーズ |
Research Abstract |
初年度である平成19年度は、入院期間1年〜5年未満の患者の退院支援のニーズと課題を当事者の視点から明らかにすることを目的として、聞き取り調査を実施した。異なる3都道府県の精神科入院施設3ケ所をフィールドとし、入院1〜5年未満で統合失調症圏の診断を受け、研究参加の同意が得られた患者を対象とした。聞き取りの内容は、療養生活の実態、生活の中での工夫や努力、今後の生活に向けた希望や目標、退院に向けての心配や困難、医療者との関係、医療者への希望や要望などであり、これらについて研究者から質問を投げかけ、対象者に自由に語ってもらった。その後に、対象者の許可を得て、病棟看護師から患者の状況や退院支援状況等について聞き取り、あわせて診療録と看護記録から情報収集した。得られたデータは、質的帰納的に分析した。 対象者は皆、「退院を希望」していたが「退院希望時期は曖昧」であり、「退院予定日は未確定」であった。「退院に向けた準備」をすすめていることが述べられたが、目標期限を設けた「時間軸に乗った支援」よりも「患者のペース・状況優先の支援」が中心であった。また、本人が希望/予定している退院先は、アパート/自宅での一人暮らし、グループホーム/福祉ホーム入居であり、「自立生活が求められている現状」があった。退院に向けた医療者への要望は、"特にない""良くしてもらっている"など「医療者への要望の希薄さ」が抽出された。そして、対象者自身の捉える生活の状況、努力していること、困難には、「看護師のアセスメントとの間のギャップ」が少なからず存在することが明らかとなった。これらのニーズと課題が対象者の語りから抽出されたことは、当事者の視点に立った支援のあり方を検討する上で基盤となる要素であり、大変重要であると考える。
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