2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19791744
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
宮本 有紀 The University of Tokyo, 大学院・医学系研究科, 講師 (10292616)
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Keywords | 精神看護学 / recovery |
Research Abstract |
リカバリー(recovery)とは、1980年代より論じられるようになった概念であり、症状がなくなることではなく、精神的困難を抱える人にとっての人生の回復、人間性の再獲得を主題とし、精神的に困難を抱えている人自身が自分の人生を自分で選択するプロセス、生き方を指す。 本研究は、精神的困難を抱えている人のリカバリーを促す要因を探り、看護師を含め、リカバリー過程にある人の援助に携わる者のどのような関わりが効果的であるかについて示唆を得ることを目的とする。具体的には、リカバリーに成功しているととらえられる状態はどのような状態であるかを明らかにし、リカバリーに向かっていると見られる人自身は何をリカバリーのきっかけととらえているかを調査することで、リカバリーを促す要因を明らかにする。この研究の最終的な目標は、日本において、精神的困難を有する人や、精神的な要因でなかったとしても、長く続く困難を有する人のリカバリーを促進させるためのシステム作りの一助とすることである。 本研究の初年度にあたる平成19年度は、当事者の考えるリカバリーとその促進に必要な要素を知るために、米国の複数の施設(Dummerstone, VermontおよびChapel Hill, North Carolina、New Bern, North Carolina)を訪問し、リカバリー促進活動に取り組む実践者および研究者から、リカバリーを促すために必要なこと、求められる実践について聞き取りを行った。 調査により、リカバリーを促すためには、ウェルネス(Wellness)に着目をすること、ピアサポートを効果的に用いることが大きな要素と考えられた。また、援助者や周囲の者、あるいは困難を有する人自身の用いる言葉(あるいは用語)はリカバリーに重大な影響を与えるためその使用について更なる思慮が求められていることがわかった。
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