2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19791744
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
宮本 有紀 The University of Tokyo, 大学院・医学部・研究科, 講師 (10292616)
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Keywords | 精神看護学 / recovery |
Research Abstract |
本研究で扱う精神健康においてのリカバリー(recovery)とは、生きる上でなんらかの困難を経験した人にとっての人生の回復や人間性の再獲得を主題とし、困難を経験した人自身が自分の人生を自分で選択するプロセス、生き方を指す。このリカバリーを当事者やその周囲の人はどう捉えているか、どのようにリカバリーが促進されるのかについてはいまだ議論の途上である。本研究は、困難を経験した人のリカバリーを促すきっかけとなったものやその要因を探り、リカバリー過程にある人に対するどのような関わりが効果的であるかについて示唆を得ることを目的として聞き取り調査を行った。 当研究において、リカバリーに向かう転機となった時期にあったこととして、ありたい自分(あるいは、ありたくない自分)を考えたこと、人との出会いや考え方との出会いなどが挙げられた。さらに、リカバリーへ進むに際して、一人ひとりが自分自身に対して責任を有しており、また、自分自身が自分に関する知識と力を有する存在であることを感じることが力となったこと、人とは変化し、成長し続ける存在であると感じたことなどが挙げられた。 リカバリーを促すような関わりとしては、援助専門職者であるかないかに関わらず、対等な存在として関わることの重要性についても多く語られていた。ここでいう対等とは、誰もが尊重される価値があることを認めていること、どちらかが一方的に何かを変化させる・直す・教育するのではなく互いから学び合う関係であること、安心できる関係であること、つながりを感じられる関係であることなど、その関係のあり方がさまざまな表現で語られていた。 リカバリー志向の関係性においては、サービスを提供する側も利用する側も同等の力を有する存在であることをお互いが認識し、相互的な関係性を築くこと、相互性に影響を及ぼす危険のある力関係を認識することの重要性が示唆された。
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Research Products
(3 results)