Research Abstract |
【目的】本研究の目的の1つとして, 行政分野で働く保健師(行政保健師)の職務満足度と基本属性等との関連について検討した。【方法】10府県における行政保健師7,170名を対象に, 自記式質問紙による郵送調査を実施した。質問紙の内容は, 基本属性, 職務経験, 職務記述指標72項目, 職務関与概念尺度4項目とした。調査協力の有無にかかわらず職務評価にはつながらないことを告知し, 無記名とした。データ分析はSPSS15.0を用い, 有意確率は5%水準とした。【結果】回収数2,065名(28.8%), 有効回答数1,759名(85.20%), 経験年数14.1±9.4年, 女性1,741名(99.0%), 市町村1,101名(62.6%)であった。職務満足度および仕事満足度が高かったのは, 保健部署および保健福祉部署, 役職あり, ロールモデルの存在あり, 家族の仕事の理解度と協力の程度であった。なお, 職務満足度は上司満足度(R^2=0.581), 上司満足度と仕事満足度(R^2=0.866)に寄与するところが大きかった。各質問項目の内訳を検討すると, 上司満足度は必要な時に頼りになる(R^2=0.578), 仕事満足度は楽しい(R^2=0.535)の項目で5割以上の寄与となった。職務満足度と職務関与の相関係数はr=0.320であった。【考察】保健部署以外への配置が増加してきているが, 保健部署に比べ職務満足度は低く, 特に仕事自体に対する満足度が低かった。他分野配属の保健師自身および他職員に対して, 保健師の専門性発揮の必要性を普及することが肝要と考える。また, 単独あるいは少数配置における職場環境の整備, ロールモデルの存在, 必要時に頼りになる管理職の教育の重要性が示唆された。今後は, 保健師キャリア志向と職務満足度の関連について検討し, 適材適所のあり方について考察する予定である。
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