2007 Fiscal Year Annual Research Report
慢性虚血肢を有する下肢褥瘡ハイリスク臥床高齢者の下肢褥瘡予防プログラムの検証
Project/Area Number |
19791747
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
大桑 麻由美 Kanazawa University, 医学系研究科, 助教 (30303291)
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Keywords | 褥瘡予防 / 慢性虚血肢 / 除圧ケア |
Research Abstract |
慢性虚血肢を有する臥床高齢者の褥瘡好発部位である踵部の褥瘡予防ケアとして、下肢水平挙上(踵部と心臓が同じ高さ)の効果を検証した。測定体位は「下肢挙上なし」と「下肢水平挙上」、さらに「下肢挙上」という日常的に実施される体位であった。踵部の経皮酸素分圧測定により検討を行う計画で、健康人でのプレテストを実施の後に開始したが、「下肢挙上なし」=踵部圧迫体位の際、この圧迫によって経皮酸素分圧測定器のセンサの厚みで踵部の圧迫を受け、測定値がゼロ、すなわち末梢組織酸素供給能ゼロを示した。ゼロの解釈として、本当に、全く血流なしであるか、あるいはセンサの圧迫による弊害かのいずれかである。ゼロであるなら皮膚が壊死・壊疽の病態に陥るが、実際そのようなことは直ちに起こりえないことから、これは測定用具の限界から生じる不具合であると判断できた。そこで、圧迫下でも測定可能な測定用具の変更・開発が急務となったが、市販されている測定用具では、いずれも困難であったことから、測定機器の探索・調整を行う一方で、経皮酸素分圧測定器を用いて、踵部を圧迫しない体位である「下肢水平挙上」と「下肢挙上」における踵部の末梢組織酸素供給能を測定した。ABI0.8未満の場合、「下肢挙上」において「下肢水平挙上」よりも末梢組織酸素供給能が低下し、圧迫しないにもかかわらず、0-10mmHgを呈した。下肢挙上は圧迫を除去するという有用な手段ではあるが、慢性虚血肢を有する臥床高齢者では水平よりも高く挙上するとかえって有害となる可能性が示唆された。また、調整中の測定器は、踵部圧迫下でも皮膚血流を捉えることが可能となった。ABI0.8以上と未満の対象者で測定した結果、弁別妥当性が確認され、今後この測定器を用いて圧迫下での検証を行うことが可能と示唆された。
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