2009 Fiscal Year Annual Research Report
慢性虚血肢を有する下肢褥瘡ハイリスク臥床高齢者の下肢褥瘡予防プログラムの検証
Project/Area Number |
19791747
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
大桑 麻由美 Kanazawa University, 保健学系, 准教授 (30303291)
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Keywords | 褥瘡予防 / 慢性虚血肢 / 除圧ケア |
Research Abstract |
慢性虚血肢を有する臥床高齢者の褥瘡好発部位である踵部の褥瘡予防ケアとして、(1)下肢保護保温(脚用ブーツ)、(2)加振(マッサージ15分間)の効果を前年度までに検証し、褥瘡予防プログラムの有効性が見込まれた。今年度はこれを臨床に導入し、実際に下肢褥瘡発生率が低下するかを確認することを目的とした。導入にあたり、1病棟からプレテスト的に、事前事後設計となった。 結果、ケア導入後の下肢皮膚欠損は、1.2%であった。導入前1.5%と比較して低く、全層欠損である深い創傷は発生しなかった。部位も慢性虚血肢を有する患者に特徴的な、外果・内果の皮膚損傷発生はなかった。下肢に発生した創傷は、厳密には褥瘡と迷う症状が含まれ、深部静脈血栓症を予防するための弾性ストッキング着用に関連するものであり、医療器具による圧迫として今回は含んだ。加振の使用は、同様に深部静脈血栓症予防のための間欠的空気圧迫療法(フットポンプ)の使用者もあることからこの病棟での使用はなかった。 もともと下肢褥瘡の発生数が少ないために、プログラムの有効性を数字で明確に示すことは難しかったが、アセスメントを行い、ケアを選択するプログラムの実行は可能であった。厳密には対照群がなかったプレテスト的なところで実験期間が終了したこと、深部静脈血栓症のケアが同時に進行していることから、より臨床的に下肢褥瘡予防ケアプログラムへの修正が必要であると示唆された。また、皮膚損傷も弾性ストッキング着用は不可避であることが多いため、創傷の見極めと対処も必要である。今後はこれらについて検討を進め、対照群との比較を行いたい。
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