Research Abstract |
本研究の目的は, 高齢者を対象とした運動プログラムが, メタボリック症候群, 運動機能, 免疫機能, 精神機能におよぼす効果を, 生理・心理学的指標を用いて検証することである. 平成19年度には, 研究環境の整備および運動プログラムの作成と評価を行った. 本研究の最終年度である平成20年度には, 作成した運動プログラムを3つの高齢者集団に6ヶ月間実施し, その効果を生理・心理学的指標により評価した. 具体的には, 運動介入前に, 運動プログラムのパンフレット, ビデオテープ, 運動記録用紙, 運動用音楽テープを参加者に配布・説明し, 参加者が在住する地域で活動している若手運動自主グループにより運動講習を6ヶ月間定期的に行った. 生理・心理学的評価は, 介入前, 介入後3か月毎に実施し, その結果を参加者一人一人にコメントを付加して返却し, 運動継続意欲を高めた. 運動介入の効果は以下の通りであった. 運動能力指標である椅子座り立ち時間の向上, 免疫能の指標である血中ナチュラル・キラー細胞の増加, 血中HDLコレステロールの基準値への移行, 運動継続意識の増加, 日常生活における運動回数の増加. 運動能力指標である5m歩行時間の変化および運動に対する自己効力感の有意な変化は認められなかったが, 平均年齢76歳以上の参加者のそれらの指標が, 低下せず全国平均以上の値に維持されたことは, 定期的な運動による効果と評価できる. 以上の研究成果を, 国際学会および国内学会にて4回報告した. また, ノースウエスタン大学で開催されたCultural and Affective Neuroscience Workshopにおいて, 本研究成果を報告した.
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