2009 Fiscal Year Annual Research Report
サービスがおよびにくい人のアクセスを高める住民ネットワーク機能の評価指標の開発
Project/Area Number |
19791778
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Research Institution | Kobe City College of Nursing |
Principal Investigator |
岩本 里織 Kobe City College of Nursing, 看護学部, 准教授 (20321276)
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Keywords | 公衆衛生看護 / 健康格差 / ネットワーク |
Research Abstract |
本研究はサービスがおよびにくい人の保健医療福祉へのアクセスを高める住民ネットワーク機能を明らかにし、その評価指標を作成することである。最終年である本年は、これまでの調査から明らかになった住民ネットワーク項目案(31項目)について、専門家(保健師経験のある学識者)から意見収集後に修正し、全国調査を実施し、評価指標としての信頼性・妥当性を検証した。 調査の対象施設は、全国から無作為抽出した保健所・保健センターおよび地域包括支援センター1215箇所で勤務する保健師3365名である。回収数は1150(回収率36.1%)であり、対象者の平均年齢は40.6歳(標準偏差10.3歳)であった。31項目の評価指標案について、項目分析後、因子分析を行った結果、26項目5下位因子からなるネットワーク尺度を作成した。下位因子は、「住民とのつながり」(8項目)、「ネットワークの土壌」(6項目)、「専門職との繋がり」(4項目)、「住民の集いの場や機会」(3項目)、「地域住民同士の助け合いや情報交換」(5項目)で構成されていた。Cronbach α係数は0.903であり高い信頼性が確保された。また、対象者の主観的なネットワーク構築状況(10段階)とは有意な相関があった(相関係数0.58)。また主観的な当該地域からの対象発見の状況とも有意な相関があった(相関係数0.38)。 本研究で作成した「住民ネットワーク尺度」は、地域の住民からアクセスを高めるネットワークを評価する指標として使用可能であることが示唆された。今後、本「住民ネットワーク尺度」を使用し、保健センターや地域包括支援センターにおいて地域を評価し、住民のアクセスを高めるためにネットワークを構築していくができ、意義ある尺度を作成できたと考える。今後、さらなる活用可能性について検証していくことが必要である。
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