2009 Fiscal Year Annual Research Report
病棟看護師が認識している統合失調症患者への退院支援の困難さの分析
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19791784
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Research Institution | St. Luke's College of Nursing |
Principal Investigator |
大熊 恵子 St. Luke's College of Nursing, 看護学部, 助教 (40284715)
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Keywords | 看護学 / リハビリテーション / 臨床 / 退院支援 / 統合失調症 |
Research Abstract |
この研究の目的は、長期入院となっている統合失調症患者に対する退院支援について、病棟看護師がどのような困難さを感じているのかを明らかにし、長期入院となっている統合失調症患者への退院促進のための看護援助を考察することである。 今年度は、慢性期病棟に勤務していない看護師(急性期病棟、訪問看護)へのインタビューも実施した。急性期病棟の看護師へのインタビューでは、「急性期病状が落ち着くまでの期間が長くても、病状が安定した後は患者も退院に目を向けることができる。また、病状が悪い時期に、共に歩んでいく中で患者との信頼関係を構築できる」と述べており、慢性期病棟の看護師とは違った観点で退院支援の難しさを語っていた。訪問看護師は、「退院支援において重要なことは病棟看護師だけで展開するのではなく、訪問看護師と連携をしていくことが必要ではあるが、現在の診療報酬制度では現実的には難しい」という連携の困難を語っていた。 これらの結果を前年度までのインタビュー結果と比較分析した。慢性期病棟に長期入院をしている退院困難患者に対して病棟看護師が抱いている困難は、1.病状や生活パターンが固定化(ホスピタリズム化)している患者への動機付けや生活スキル向上のための援助、2.家族を含めだ退院後の支援体制を整えるための地域連携であることが明らかになった。慢性期患者の退院促進のためには、慢性期病棟に勤務する看護師をスーパーバイズすることのできるディスチャージナースや専門看護師の活用、退院促進のベースとなる患者の退院への動機付けを高めるための援助技術、リハビリテーションに関する更なる研究が必要であることなどが示唆された。
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