2008 Fiscal Year Annual Research Report
身体化症状を呈する患者に対する看護ケアガイドラインの作成に関する研究
Project/Area Number |
19791786
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Research Institution | Tokyo Women's Medical University |
Principal Investigator |
嵐 弘美 Tokyo Women's Medical University, 看護学部, 助教 (50439832)
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Keywords | 精神看護学 / 心身看護 |
Research Abstract |
本研究は、「精神科・身体科の比較を通して、身体化症状を呈する患者への心身両面の適切な看護ケアを明らかにし、「身体化症状を呈する患者に対する看護ケアガイドライン」を作成すること」を目的としている。平成20年度は、特に精神科において身体化症状を呈する患者の心身両面の病態を診療記録や看護記録を参照して整理し、身体科において実施されていた看護と比較した。また、両科の看護師の身体化症状を呈する患者に対する看護経験をインタビューして比較することにより、その共通点と相違点を明らかにし、下記の結果を学会にて発表した。 1. 両科に共通していた看護 : 患者の訴える症状が、身体化と診断される以前からその看護を開始している点が特徴的であり、<症状によって不足しているセルフケアを援助する>・<身体症状の裏付けをさがす>・<信頼関係を築く>・<原因不明な身体症状へ対応する>等の看護が共通していた。身体化症状と診断された後は、上記ケアに加え、<背景因子をアセスメントする>・<理解されにくい身体症状のつらさを共感する>・<患者とともに対処方法を検討する>・<身体症状から気をそらす>等の看護がみられた。また、看護師の不全感や陰性感情がケアに影響している点も共通していた。 2. 両科の相違点 : 患者の身体化症状の重症度および治療プロセス、普段行っている看護ケア内容の差異により生じていた。精神科においては、身体化症状の疑いが指摘された重症度の高い患者をケアすることが多く、「併発性身体化」ではうつなどの<原因となる精神障害の看護に則り見通しを示す>、「機能性身体化」・や「心気身体化」では精神力動などの精神科看護技術を使って<言語化を促す>・<直面化を促す>などの身体化症状の原因を意識したケアを実施していた。一方、身体科においては、身体疾患によって入院している患者が、初めて身体化症状を訴えるケースと関わることが多く、身体疾患により同じような身体症状を訴える患者の看護経験をいかし、<入院の原因となった身体疾患のケアを通して関わる>・<身体症状へ効果的な対処を取り入れる>等のケアを行っていた。 平成21年度は、それぞれを専門としない看護師が心身両面の適切な看護ケアを行うために、上記で明らかにした両科の長所をいかしたガイドラインを作成する予定である。
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