2007 Fiscal Year Annual Research Report
認知症高齢者への「寄り道散歩」プログラム導入効果に関する研究
Project/Area Number |
19791791
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Institute of Gerontology |
Principal Investigator |
伊東 美緒 Tokyo Metropolitan Institute of Gerontology, 東京都老人総合研究所, 研究員 (20450562)
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Keywords | 認知症 / 通所ケア / 活動量 / プログラム / 地域との交流 |
Research Abstract |
首都圏近郊にある小規模の通所介護施設2か所において家族から文書で同意の得られたアルツハイマー病高齢者7名とその家族を対象として,「寄り道散歩」プログラムを実施した。介入の前後で,認知症高齢者には,CDR,MMSE,QOL-AD,Barthel-Index,IADL(Lawton),Behave-AD,家族にはZarit介護負担尺度短縮版(J-ZBI-8)と睡眠・食事・排泄に関する項目について調べた。対象者のうち,2名は死亡、拒否により研究対象から除外し,81歳から89歳までの女性5名を分析対象とした。QOL-AD,MMSE,Barthel Index,IADLはすべて介入の前後における有意差は認められなかった。しかし介護職員にBehave-ADを用いて施設に滞在する間の周辺症状をたずねたところ,介入の後に有意に得点が低下した(p<.05)。家庭での様子を家族にたずねたところ,2名からの回答が得られ,2名ともに睡眠状態に関する項目において変化が認められた。散歩中の観察データからは,初期には不安を示す言動がみられるが,1ヶ月経過時点より繰り返し会う地域の方への自発的挨拶が認められるようになるなどコミュニケーションの面で改善がみられた。 今回の結果から,通所介護施設を利用したあと,自宅で睡眠状態が改善し,周辺症状が少なくなる可能性があることから,今後の調査では家族にもBehave-ADについて回答を求めることとした。「寄り道散歩」プログラムは,アルツハイマー病高齢者の生活を安定させる可能性があり次年度も対象施設を広げて取り組む予定である。
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