2007 Fiscal Year Annual Research Report
振動子ネットワークの応答と制御:基礎理論と生体システムへの応用
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19800001
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
郡 宏 Hokkaido University, 大学院・理学研究院, 学術研究員 (80435974)
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Keywords | 結合振動子 / 同期現象 / 位相応答関数 |
Research Abstract |
応答に関する研究の一般理論に取り組んだ。相互作用する振動子集団を用い、その全体、あるいは一部に外部入力がある系を考え、相互作用の効果を外部入力に対する応答に繰り込み、実効的な応答を導いた。外部入力、ネットワーク内での結合がともに弱い場合は、各振動子を位相のみで記述する、いわゆる位相モデルが使える。この場合は多くの計算を解析的に進めることができる。2振動子、3振動子系といった少数自由度から、大自由度まで段階的に解析計算を行った。 さらに、解析的な位相縮約が可能な振動子モデル(ニューロンのモデルとして有名な「シータニューロン」モデル)を用い、その結合系の集団応答関数を解析的に求めた。その結果、Type1と呼ばれる、位相応答関数が正の値しかもたない素子から、集団としての応答が正負両方をもつtype2に変化できることを示した。Typeの違いはニューロンの挙動の重要な性質である。本研究の結果はニューロン間の結合によって、応答のタイプを変化させられる可能性を示したものである。 また、この一般的な解析結果を、ある結合リミットサイクル振動子系を用いて数値的に検証した。振動子間の結合強度を変えると、集団応答関数が理論に定量的に従って変化することをたしかめた。この結果を用いると、2つの新動詞集団の間に相互作用があったときに、集団同士がどのような位相関係で同期するかがわかる。適当な結合を集団間に導入することで、予言と数値計算の結果が一致することも確かめた。
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