2008 Fiscal Year Annual Research Report
振動子ネットワークの応答と制御:基礎理論と生体システムへの応用
Project/Area Number |
19800001
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Research Institution | Ochanomizu University |
Principal Investigator |
郡 宏 Ochanomizu University, お茶大アカデミック・プロダクション, 特任助教 (80435974)
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Keywords | 同期現象 / ネットワーク / フィードバック制御 / 概日リズム |
Research Abstract |
以下の研究を実施した。(1)振動子ネットワークの外部入力に対する応答理論の確立,(2)振動子ネットワークのフィ-ドバック制御理論の発展,(3)生体システムの理解を目指した,上記理論の応用.これらの課題に対し,振動子集団を記述する数理モデルを用い,それの数値計算と解析計算を相補的に行うことによって遂行した.特にこれまで基礎研究が欠落していた(1)が本研究の重要課題であった.この課題では,外部入力、ネットワーク内での結合がともに弱い場合を扱い,各振動子を位相のみで記述する,いわゆる位相モデルを用いた.研究の結果,どのような不均一性,どのようなネットワーク構造に対しても系統的に適用できる理論が完成した.集団が均一な場合はネットワーク研究で興味の持たれるラプラシアン行列の固有値問題に帰着し,通常興味の持たれる固有値ではなく固有ベクトルがネットワークダイナミクスに重要な役割を持つことが示された.さらに,理論の拡張として,複数のネットワークが相互作用する系の位相記述も確立できた.この拡張により,各ネットワーク内での結合が,ネットワーク間の同期現象にどのような作用をもたらすかが明らかになった.これらの成果は現在Physical Review Letter誌に投稿中である.また(3)と関連して,北大医学部の体内時計の研究グループとこの研究課題に関する共同研究を立ち上げた.
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