2008 Fiscal Year Annual Research Report
ナノバブルと超音波を用いた新しいワクチン接種システムの開発
Project/Area Number |
19800002
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
堀江 佐知子 Tohoku University, 大学院・医学系研究科, 研究支援者 (90451640)
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Keywords | ナノバブル / 超音波 / ワクチン |
Research Abstract |
本研究の目的は、ナノバブルと超音波を用いた新しいワクチン接種法のためのドラッグデリバリーシステムを開発し、これまで治療が困難であった感染症などの予防や治療に貢献することである。これまで我々は、強力な抗原提示細胞である樹状細胞に対して標的性をもたせるために、バブル表層に抗CDllc抗体などを組み込み、ワクチン誘導のための抗原タンパクや遺伝子を封入した機能性標的型バブルの作製を想定したバブルモデルを作製した。また、このバブルの体内分布の超音波画像でのモニタリングや生体細胞への遺伝子導入効率、さらには、超音波照射とバブル破砕時の組織障害の程度、それに伴なう炎症性細胞浸潤の程度などを検討した。その結果、静脈注射によりバブルがリンパ節に流入し、リンパ節内の樹状細胞に抗原タンパクや遺伝子の導入が可能であること、バブル破砕時の超音波の強さを調節することにより、照射部に適度な炎症性細胞の集積を促し、バブル破砕によるアジュバント効果が期待できること、ナノバブル表層への抗体の組み込みが可能なこと、バブル内への抗原タンパクや遺伝子、あるいはアジュバント分子の封入が可能であることなど、本研究を推進する上で極めて重要な知見を得ることができた。しかし、ナノバブルと超音波を用いた分子導入法においては、導入効率の低さが問題になる可能性が考えられた。そこで、平成20年度においては、1回のトランスフェクションで100日以上もタンパク発現が可能な長期発現プラスミドDNAをナノバブルと超音波を用いて導入するシステムを開発し、従来の分子導入法の導入効率の低さの問題を解決することが可能となった。しかしその一方で、生体内での持続的なウイルス抗原の産生は、高グロブリン血症や免疫複合体病等の誘発の可能性も考えられることから、今後は、タンパク発現量の増大のみならず発現タンパクの制御法の検討も必要かと思われる。
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Research Products
(4 results)