2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19800004
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
山下 美鈴 University of Tsukuba, 大学院・生命環境科学研究科, 研究員 (90451690)
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Keywords | 生殖 / 受精 / 応用動物 / マウス / 精子 |
Research Abstract |
精子は受精の際にトリプシン様セリンプロテアーゼによって卵子透明帯を分解することで精子の透明帯通過を容易にしていると考えられる。これまでの研究によって、精巣特異的GPIアンカー型精子セリンプロテアーゼTesp5(Testicular Serine Protease 5)の欠損マウスの精巣上体精子による体外受精を行うと受精能と透明帯結合能が低下することが明らかにされた。本年度は、1)Tesp5欠損精子の透明帯上での先体反応能と透明帯通過能、および組換え型Tesp5タンパク質による透明帯分解活性について、また2)子宮内分泌液による受精能回復実験を試みた。 1) 卵子透明帯上での先体反応率を先体反応後の精子へ特異的に結合するIzumo1抗体を用いて検証したところ、Tesp5欠損精子では著しく低下していた。また、Cd9欠損マウスの卵子を用いて透明帯通過能を調べた結果、囲卵腔に貯留した精子数はTesp5欠損精子で有意に減少することが明らかになった。さらに、組換えTesp5タンパク質では透明帯タンパク質を限定的に分解し、Tesp5の活性残基を置換した変異型の組換えTesp5ではその分解活性の消失が確認された。以上の結果から、Tesp5は透明帯上で透明帯を分解することでその後の精子先体反応に寄与することが示唆された。引き続き、Tesp5による分解機構を解析すると共に、種特異性を比較し透明帯通過のメカニズム解明を図る。 2) Tesp5欠損個体は自然交配では正常な産仔数を示すことから、雌性生殖器内に受精をサポートするメカニズムが存在すると考えられる。そこで、排卵直前のマウス子宮内より回収した子宮内分泌液に暴露したところ、Tesp5欠損精子の受精能が回復することが分かった。今後、Tesp5欠損精巣上体精子をツールに子宮内分泌液中に存在する受精能回復因子の同定を試みる。
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