2007 Fiscal Year Annual Research Report
野球のバント動作における一流選手の「わざ」の要因を探る
Project/Area Number |
19800020
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Research Institution | Kyoto Institute of Technology |
Principal Investigator |
来田 宣幸 Kyoto Institute of Technology, 工芸科学研究科, 准教授 (50452371)
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Keywords | バイオメカニクス / 野球 / キネマティクス / 動作解析 / 熟練者 |
Research Abstract |
バントは野球における攻撃戦法のひとつであり,緊迫した接戦でよく用いられる.バント動作とはボールをバットに当て,フェアゾーン内に転がす動作である.バント動作において,打者はバットを適切な時刻にかつ適切な空間位置に移動させなければならない.さらに打撃動作とは異なり,バント動作は打球速度を調節することが要求される.本研究では,野球のバント動作におけるバットの空間位置を明らかにすることを目的として実施した.7人の大学野球選手を被験者として実験を実施した.打球方向条件として1塁方向,投手方向,3塁方向の打球方向を設定して,実験室内において実際に投手が投げたボールを被験者にバントさせた.実験ではVicon512を使用し,バットヘッド,グリップの3次元位置の測定をおこなった.各試行において打球方向,打球速度,鉛直面での打球反射角度に関して,実験の場面を想定した成功と失敗の判断を行った.また,インパクト位置の高さに応じて投球の高さ条件を設定した. 実験の結果,インパクト時には,打球方向に応じてバットヘッドに加えてグリップも空間位置は異なっていたことが明らかとなった.例えば被験者が3塁方向にバントするとき,バットヘッドは1塁方向条件より前方の投手側の位置であり,グリップは1塁方向時に比べて捕手側に位置していた.インパクト時にみられた打球方向によるバットの空間位置の違いは動作の初期からみられた.被験者は投球の高さに対しても下肢関節運動を使いながらバットの空間位置を調節していた.この結果から野球選手は日々の練習によって,バットヘッド,グリップを含むバット全体を適切な位置へと移動するスキルを獲得していたと考えられる.
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