2008 Fiscal Year Annual Research Report
短期的な変動も検出可能なトラヒックマトリクス推定技術の開発
Project/Area Number |
19800023
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
大下 裕一 Osaka University, 大学院・経済学研究科, 助教 (80432425)
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Keywords | トラヒックマトリクス / 推定 / Simple Network Management Protocol / Netflow |
Research Abstract |
昨年度は、過去に異なる箇所で観測されたリンク使用率と現在のリンク使用率を用いて、短期的なトラヒック変動に追随したトラヒックマトリクスを正確に推定する手法の提案を行った。この手法では、まず、対地間トラヒックの変動を周期関数でモデル化し、そのモデル化された周期関数のパラメータを推定することにより、トラヒックの長期的変動を推定する。そして、その推定結果を各時刻のリンク使用率の観測結果に合致するように補正を加えることにより、各時刻のトラヒックマトリクスの推定を行う。 しかしながら、この手法では、周期変動の推定に悪影響を与えるほどの突発的な変動が加わった場合に、その突発的な変動が周期変動の推定に悪影響を与えてしまい、著しい推定誤差を生じてしまう。その結果、トラヒックの突発的な変動が発生した場合などの、異常検知等においては重要な場面に、正確な推定を行うことができない。 この問題に対して、本年度では、過去の異なる箇所で観測されたリンク使用率を用いつつ、そのような突発的な変動が発生した場合にも、正確にトラヒックマトリクスの推定を行うことができる手法を提案した。提案手法では、長期変動から加える補正の大きさに対して、Smirnov-Grubbs検定を用い、補正が過去とくらべて著しく大きい場合、トラヒックの突発的な変動が発生したとして検出する。そして、その後、突発的な変動が検出された対地間トラヒックに関する過去の情報を除去した上で、長期変動の推定から行いなおす。本研究では、提案手法について、シミュレーションによる評価を行い、突発的なトラヒック変動にも追随した推定を行うことができることを明らかにした。
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