2007 Fiscal Year Annual Research Report
BMPおよびLIFシグナリングを介した視神経グリア細胞の分化・成熟機構の制御
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19800043
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Research Institution | Tokyo University of Pharmacy and Life Science |
Principal Investigator |
石橋 智子 Tokyo University of Pharmacy and Life Science, 薬学部, 助教 (50453808)
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Keywords | ミエリン / オリゴデンドロサイト / アストロサイト / BMP / LIF |
Research Abstract |
中枢神経系グリア細胞の多様性に興味を持ち研究を行っているが、現在は特にサイトカインの一つであるBone morphogenetic protein(BMP)が、中枢神経系グリア細胞の機能調節にどのように関与しているのか焦点を当てている。BMP受容体遺伝子の一つであるBMPR1b欠損マウスの視神経を調べた結果、予想に反してミエリンは正常に形成されていた。しかしながら、非常に興味深いことに生後10日をピークに異常に増殖した細胞塊が視神経軸索の間に多く観察された。この細胞塊は生後14日ではほとんど消失し、軸索走行も正常に戻っていた。様々な細胞マーカーを用い免疫染色した結果、異常に増殖した細胞塊はオリゴデンドロサイト前駆細胞の性質を持った細胞であり、日齢を追うごとに正常に分化しミエリンが形成されていた。BMPが神経発達に重要な分子であることは以前から多く報告されているが、数多く存在するBMPレセプターの中の単一レセプター欠損で生体に異常を来すという報告は全くなく、BMPR1bを介したシグナルがグリア細胞の分化に関与している直接の証拠を得ることが出来た。さらに、今回の結果より、BMPシグナリングが発達段階の限られた一時期に視神経内グリア細胞の細胞増殖・分化を制御している可能性が示唆された。一方、別のサイトカインであるLeukemia inhibitory factor(LIF)を欠損させたマウスの視神経が、同じ時期に視神経ミエリン形成の遅延を来すことも見出している。この異常も生後14日以降には消失し、LIFが発達段階の一時期に優位に機能していることが示唆された。今後BMPとLIFの両シグナルがどのようにグリア細胞の分化・成熟に関与しているのか詳細を明らかにして行く予定である。
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Research Products
(1 results)