2008 Fiscal Year Annual Research Report
BMPおよびLIFシグナリングを介した視神経グリア細胞の分化・成熟機構の制御
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19800043
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Research Institution | Tokyo University of Pharmacy and Life Science |
Principal Investigator |
石橋 智子 Tokyo University of Pharmacy and Life Science, 薬学部, 助教 (50453808)
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Keywords | ミエリン / オリゴデンドロサイト / アストロサイト / BMP / LIF |
Research Abstract |
近年、神経系のニューロン以外の細胞であるグリア細胞が脳機能制御に大きな役割を果たしていることが明らかとなって来た。申請者はこの中枢神経系グリア細胞の多様性に興味を持ち研究を行っている。今回の研究では特にサイトカインの一つである骨形成蛋白質(Bone morphogenetic protein (BMP))が、発達段階中枢神経系のグリア細胞にどのように関与しているか明らかにする目的で研究を行った。 BMP受容体遺伝子の一つであるBMPRlb欠損マウスの視神経を調べた結果、非常に興味深いことに生後1日目より異常に増殖した細胞塊が視神経軸索の間に観察された。この細胞塊は日齢とともに小さくなるが、4ヶ月齢視神経でも完全には消失しない。様々な細胞マーカーでの免疫染色および電子顕微鏡による詳細な形態観察の結果、増殖した細胞塊は生後1日目では神経幹細胞の性質を有すること、その後オリゴデンドロサイトおよびアストロサイトに分化することが明らかとなった。BMPが神経発達に重要な分子であることは以前から多く報告されているが、数多く存在するBMPレセプターの中の単一レセプター欠損で生体に異常を来すという報告は全くない。また他のレセプターであるBMPR1aが主体となってBMPシグナリングを制御していると考えられていた。したがって、今回初めてBMPR1bを介したシグナルが視神経オリゴデンドロサイトおよびアストロサイトの分化に関与している直接の証拠を得ることが出来、BMPR1bを介したBMPシグナリングが発達段階の限られた一時期に視神経内グリア細胞の増殖周期を制御していることを見出し、グリア細胞の成熟メカニズムの一端を明らかにすることが出来た。
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Research Products
(1 results)