2008 Fiscal Year Annual Research Report
有酸素性運動が血中アディポサイトカイン濃度および糖・脂質代謝に及ぼす影響
Project/Area Number |
19800047
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
沼尾 成晴 Waseda University, スポーツ科学学術院, 助手 (90454074)
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Keywords | 高分子量アディポネクチン / 有酸素性運動 / 生活習慣病 / 体脂肪 |
Research Abstract |
近年,生活習慣病と関連する因子として,脂肪細胞から分泌されるアディポネクチンが注目されている.アディポネクチンは血中に分子量の異なる形で存在し,中でも高分子量のアディポネクチンは生活習慣病とより関連するとの報告がある.有酸素性運動の継続は生活習慣病予防効果をもたらすが,その効果が高分子量のアディポネクチンの増加に起因する可能性がある.そこで,中年肥満男性を対象とし,血中アディポネクチン分画濃度に及ぼす長期的な有酸素性運動の影響を検討し,糖・脂質代謝との関連性についても検討を加えた.中年肥満男性15名(年齢:49.4±9.1才,BMI:30.0±2.6kg/m2)に対して,ウォーキングを中心とする有酸素性運動を12週間,週3日,90分間指導した.介入前後の血中脂質,グルコース,総アディポネクチン濃度および高分子量アディポネクチン濃度を比較した.有酸素性運動介入前後で体脂肪の有意な減少がみられ(P<0.05),総コレステロール,中性脂肪濃度についても有意な減少が認められた(P<0.05).総アディポネクチン濃度は介入前後で有意に増加した(P<0.05)が,高分子量アディポネクチン濃度の変化は有意でなかった.総および高分子量アディポネクチンの変化量と体脂肪の変化量との間に,有意な負の相関が認められた(r=-0.63,r=-0.64,P<0.05)が,血中脂質,グルコース濃度の変化量との間に相関はなかった.これらのことから,長期間の有酸素性運動は血中総アディポネクチン濃度の増加に寄与するが,高分子量アディポネクチン濃度に対する効果は小さい可能性がある.また,血中総および高分子量アディポネクチン濃度は,体脂肪量と関連することがわかった.一方,有酸素性運動による血中脂質,グルコース濃度の変化は,血中アディポネクチン濃度ではなく,他の要因の変化が関与していることが示唆された.
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