2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19800058
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
遠部 慎 Hokkaido University, 施設部, 特定専門職員 (50450151)
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Keywords | 考古学 / AMS年代測定 / 貝塚出現期 |
Research Abstract |
本研究の目的は、先史時代における多様な貝類利用のあり方を炭素14年代測定法を用いて整理することによって、先史社会を復元することにある。本研究で、主な研究対象とする縄文時代は、四方を海に囲まれた日本列島で、海産資源の利用が活発化する時代であり、貝塚形成が始まったことでも知られる通り、現在まで続く日本人と海のかかわりを考える上で、重要な時代である。本研究では、貝塚が出現する時代、つまり縄文時代早期から前期の西日本を中心としたエリアの年代研究を推し進めた。 今年度の研究経過としては、福井県鳥浜貝塚、三重県鴻ノ木・高皿遺跡、鳥取県渡り上がり遺跡、島根県島根大学構内遺跡、岡山県黄島貝塚、犬島貝塚、鹿児島県湯屋原遺跡などのサンプルの年代測定を実施し、それらについて報告をまとめた。特に西日本の縄文時代草創期後半から縄文時代早期の年代測定を推し進め、西日本における貝塚出現期の押型文土器や貝殻文円筒形土器の実年代については大まかな見通しを得ることが出来た。さらに、瀬戸内海の縄文時代早期・前期の貝塚群の年代測定を進め、縄文時代早期のハイガイ貝塚群以前とされるヤマトシジミ貝塚群にも年代差があること(礼田崎→犬島→黒島)、魚類を伴う本格的な貝塚群は前期後半以降にいちづけられる可能性が高いことがわかった。本研究の結果、西日本における出現期貝塚を考察する上で重要な定点となる年代値を多数得ることができた。
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