2007 Fiscal Year Annual Research Report
聴覚フィードバックの定量的評価と吃音者における非流暢性の神経基盤
Project/Area Number |
19800064
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Research Institution | Research Institute, National Rehabilitation Center for Persons with Disabilities |
Principal Investigator |
岡崎 俊太郎 Research Institute, National Rehabilitation Center for Persons with Disabilities, 感覚機能系障害研究部, 流動研究員 (80455378)
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Keywords | 聴覚 / 発話 / 吃音 / 脳・神経 / 流暢性 |
Research Abstract |
本研究の目的は、吃音の原因のひとつと考えられる聴覚フィードバック機構の障害を、医工学的検査や神経科学的な手法に基づいて定量的に評価し、吃音者における非流暢性の神経基盤を明らかにすることである。非吃音者においては発話の非流暢性を引き起こし、吃音者においてはむしろ治療効果を示す遅延聴覚性フィードバックを用いて発声の非流暢性を定量的に分析した。平成19年度においては遅延聴覚性フィードバックだけでなく、周波数変調フィードバックの適用も併用し、吃音者・非吃音者の聴覚発話システムを定量的に分析した。実験により示唆された結果は以下の4点である。(1)聴覚フィードバックによる発話のピッチ調節は発声方法によって変化する。(2)吃音者では発声の基本周波数の上昇によってピッチ調節量が大きくなるのに対し、吃音者では聴覚フィードバックに対する感受性が低くほとんど調節量が大きくならない。(3)遅延聴覚フィードバックによって発声音長が延長する。(4)遅延性聴覚フィードバック下で単純なシラブルの繰り返し発声を行うと非流暢性が生じる。この現象は遅延量、繰り返し速度、繰り返し数によって変化する。 これらの結果は聴覚フィードバックが発声の流暢性、非流暢性に重要な役割を果たしていることを示しており、吃音者の非流暢性の神経基盤を調べる上で非常に重要な基礎的知見である。また本研究の結果は、今後の吃音リハビリテーションに対して有用な情報を提供し、科学的な根拠に基づく吃音リハビリテーションの発展に貢献するのみでなく、これまで健常者だけでは不明瞭であった聴覚・発話相互作用の神経基盤解明につながるものである。
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Research Products
(3 results)