2007 Fiscal Year Annual Research Report
脳微小血管3次元ネットワークによる脳血流空間制御機構に関する基礎研究
Project/Area Number |
19800065
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Research Institution | National Institute of Radiological Sciences |
Principal Investigator |
正本 和人 National Institute of Radiological Sciences, 分子イメージング研究センター, 研究員 (60455384)
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Keywords | 脳循環 / 二光子顕微鏡 / 生体内イメージング / 蛍光量子ドット |
Research Abstract |
脳内の血液循環調節に関わる脳血管機能についてこれまでの知見は、血管サイズがミリメートルオーダの比較的大きな血管かつ脳実質外側を走行する血管に限られていた。それは脳表層を走行する血管は薬物によって操作が可能であり、また生体顕微鏡によって容易に観察されるためである。それに対して本研究では、二光子励起蛍光顕微鏡法を導入し、従来生きたまま観察不可能であった脳表層から脳実質内に潜り込む細動脈と細静脈さらに脳実質内毛細血管をin vivo観察可能であることを確認した。実験ではまず、脳血管の蛍光造影剤として一般的に使われているFITC-dextran(fluorescein,70.000MW,Ex.494,Em.518)と新しい蛍光薬剤である量子ドッ種Qdot(R)565/605/655ITKTM PE,invitrogen)を実験動物の静脈に注入し、二つの蛍光標識剤に対して観察される大脳皮質の3次兀血管構造画像を比較した。その結果、FITCと量子ドットでは深さ方向のコントラストが劇的に異なる結果が得られた。FITCでは脳表層から深さ方向に約0.4ミリまでしか画像化されなかったのに対し、量子ドットではFITCの1/10の濃度で投与したにも関わらず、深さ方向の感度は2倍近く向上し脳表層から深さ約0.8ミリまで血管像を抽出することが可能であった。さらに量子ドットによる深さ方向の感度特性を利用して、脳表層から脳実質に連絡する細動脈と細静脈の血管密度を解析しMRIによる撮像と比較した。本研究によって動物用9.4テスラMRIでは、脳内血管サイズが30マイクロメートル径の微小血管まで造影可能であることが明らかになった。これらの構造データを基に、次年度は脳血管機能と脳血流調節との関係に研究テーマを進めていき、脳血流調節における脳実質内血管の機能的役割を明らかにする。
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Research Products
(3 results)