2008 Fiscal Year Annual Research Report
脳微小血管3次元ネットワークによる脳血流空間制御機構に関する基礎研究
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19800065
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Research Institution | The University of Electro-Communications |
Principal Investigator |
正本 和人 The University of Electro-Communications, 先端領域教育研究センター, 特任助教 (60455384)
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Keywords | 脳微小循環 / 血管拡張 / レーザ顕微鏡 / げつ歯類 / 体性感覚野 |
Research Abstract |
生体内レーザ蛍光顕微鏡法を用いてイソフルラン麻酔下のラット体性感覚野(FOV : 1.8 mm x 1.8 mm)における微小血管構造画像(空間解像度 0.89 μm in plane)を、脳表層から深さ方向 0.7 mmまで可視化した。脳活動に対する脳血管内径変化を評価するため、タイムラプスイメージング(フレームレート 13〜25 Hz)によってダイナミック撮像を行った。大脳皮質関心領域における脳活動は、測定領域に対応する前肢に電気パルス刺激(1.0-ms, 1.7 mA at 6 Hz)を 3 秒間与えて誘導した。電気パルス刺激後、体性感覚野動脈ネットワークにおいて顕著な血管内腔の拡張が観察された。一方、静脈側の内腔変化は観察されなかった。大脳皮質終末細動脈と脳表動脈レベルで血管内腔変化のタイムコースに顕著な違いが見られた。血管反応の立ち上がり時間は、皮質内終末細動脈では脳賦活後 0.8 秒であったのに対し、脳表動脈では脳賦活後 1.1 秒であった。また脳表動脈応答は脳活動依存的に反応領域が変化したのに対し、終末細動脈の拡張反応は一定の領域に局在していた。脳活動に対するこれら動脈血管ネットワーク間の時空間連携は、Gap junction uncoupler(Heptanol, 100 mM)によって影響を受けることから、脳血流空間制御に対する脳血管細胞間 Gap junction の関与が強く示唆された。本研究成果は、脳実質内終末細動脈と脳表動脈間の時空間連携のメカニズムを説明するシグナル経路の一つを新たに明らかにしており、脳神経活動に対する脳血管反応調節機構を理解する上で重要な知見を得ることができた。今後さらに、脳血管細胞間 Gap junction の生理的学的役割について調べていく必要がある。
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Research Products
(9 results)