2008 Fiscal Year Annual Research Report
脳波,脳磁界の持つダイナミクスの解明-モデルをベースとしたアプローチ-
Project/Area Number |
19800068
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Research Institution | National Institute of Information and Communications Technology |
Principal Investigator |
成瀬 康 National Institute of Information and Communications Technology, 未来ICT研究センターバイオICTグループ, 専攻研究員 (00455453)
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Keywords | 脳波 / 脳磁界 / モデル化 / α波 / 誘発反応 / 非線形 / 同期 |
Research Abstract |
脳波,脳磁界において顕著に計測されるのがα波である.昨年度の研究において,一次視覚野における脳波モデルを構築し,α波のダイナミクスを再現し,事象関連同期,脱同期のメカニズムを解明した.本年度は,この脳波モデルを利用してα波のダイナミクスの一つである「α波のリセット」のメカニズムについて解明を試みた.α波のリセットは,実験的には「リセットされる」と主張する研究(Naruse Y et al,NeuroImage 32,1221-1225,2006)と「リセットされない」と主張する研究(Mazaheri A and Jensen O,PNAS 103,2948-2952,2006)が存在している.これらの結果から,特定の条件でのみα波のリセットが観測できることが推測されるが,その条件は明らかとなっていなかった.そこで,本研究にて構築した脳波モデルを用いて,α波のリセットが観測できる条件について考察した.その結果から視覚刺激の大きさがリセット量に対して非線形的に影響していることが明らかとなり,α波のリセットを観測するためにはある一定の刺激量以上が必要であることを明らかにした.「α波がリセットされない」と主張した研究においては用いた視覚刺激が小さかった.この視覚刺激の小ささがα波のリセットの観測に失敗した原因であることが示唆された. また,高次視覚野からの影響も考慮に入れた脳波モデルの構築も行った.その結果,高次視覚野からのトップダウン的な信号が一時視覚野のα波の同期性に影響を与えることが示唆された.α波の同期性が脳内情報処理に関わっていると考えられるが,高次視覚野からのトップダウンはその脳内情報処理をモジュレートする役割かおることが示唆された.
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Research Products
(7 results)