2008 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト皮膚の構造を模倣した表面を持つマイクロカプセル
Project/Area Number |
19810001
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
野々村 美宗 Yamagata University, 大学院・理工学研究籍, 准教授 (50451662)
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Keywords | カプセル / マイクロ粒子 / 自己組織化 / 液晶 / 皮膚 |
Research Abstract |
皮膚は水分の蒸散を防止し、外部からの物質の侵入をバリアしている。外界から独立していることが生物であるための前提であることを考えると、「外と内を隔てる」という皮膚の役割は、生命の存続を左右する重要なものであるといえる。しかし、皮膚がその形態を維持し、機能を発現する機構はほとんど分かっていない。申請者は、皮膚の構造と機能を模倣した表面を持つマイクロカプセルおよび皮膚モデルを開発し、皮膚が外部刺激や乾燥から体内の臓器を保護する機構を物理化学的視点から解明することを目的として研究を行った。 (1) ケラチン被覆エマルション及びマイクロカプセルの調製 : 昨年度、申請者は皮膚表面の角質層の主成分であるケラチンパウダーを羊毛から調製する方法を確立した。本年度はこのケラチンパウダーとシリコーン油、水を混合すると油水界面にケラチンパウダーが吸着した安定なエマルションが得られることを見出した。さらに、このエマルションの水相に増粘剤を添加することで安定なマイクロカプセルとして取り出すころに成功した。このマイクロカプセルは皮膚のモデルとして有用なだけでなく、生体への安全性や皮膚親和性の高い化粧品・医薬品用製剤に有用であることが予想される。 (2) 細胞間脂質がバリア機能に及ぼす影響 : 角質層内においてケラチンの間にはリン脂質/コレステロール/脂肪酸からなる細胞間脂質が存在すうことが知られている。申請者は固体粒子とモデル細胞間脂質混合膜で寒天ゲルを被覆した皮膚モデルを調製し、寒天ゲルからの水分蒸散量を測定した。そめ結果、コレステロールと脂肪酸を適量添加ずることにより、寒天ゲルからの水分の蒸散が効果的に防止されることを見出した。この成果は角質層内における脂質の存在の重要性を示すものであり、化粧品などの開発に有用な知見である。
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