2007 Fiscal Year Annual Research Report
泳動電着法を用いたカーボンナノチューブマトリックス複合めっき膜の合成
Project/Area Number |
19810004
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
荻原 仁志 Tokyo Institute of Technology, 大学院・理工学研究科, 助教 (60452009)
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Keywords | カーボンナノチューブ / 薄膜 / 泳動電着 / 超撥水 |
Research Abstract |
多様な機能を有するカーボンナノチューブは次世代を担うナノ材料として注目を集めている。カーボンナノチューブの形態は粉末状であるが、その機能を十分に発揮させるためにはこれらを基板上に膜化することが望ましい。そこで本研究では、電気泳動法によりカーボンナノチューブの成膜を試みた。泳動時間・電圧・泳動浴の溶媒・電荷付与剤など種々の条件を最適化することで、良好なカーボンナノチューブ薄膜を得ることに成功した。さらに作製した薄膜を詳細に解析したところ、膜は多孔質であり、膜中に多くの空気(=空隙)を有していた。表面科学分野では、このように空気を大量に含む薄膜は高い撥水性を示すことがすでによく知られている。そこで得られたカーボンナノチューブ薄膜の水に対する濡れ性を接触角計により測定した。その結果、カーボンナノチューブ薄膜は接触角がおよそ160度であった。接触角が150度以上の薄膜はきわめて水をはじく性質を示し、「超撥水」薄膜と呼ばれる。すなわち、泳動電着法で作製したカーボンナノチューブ薄膜は、カーボンナノチューブ自身の機能に加えて、超撥水性を有しており、本研究では新規な機能を有する薄膜の作製に成功した。またカーボンナノチューブ以外の粒子(種々の炭素物質、色素粒子など)を泳動電着法により成膜したところ、いずれも超撥水性を示した。以上の結果より、超撥水薄膜の作製法として、泳動電着がきわめて汎用性の高い手法であることを表している。
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